プロローグ/入学
≪月の(ムーンラビリンス)迷宮≫
今世紀もっとも功績を残したといわれている聯盟
その聯盟は12人という圧倒的少数によって構成されているがその構成員全員が一騎当千の実力を持つと呼ばれており戦場では味方にすれば絶対的な勝利、敵に回せば敗北は必須と言われていた。
魔導師、騎士、弓使い、この世界にはこの3つの職業が基本職として存在している。各職派生形が3職ずつ存在している。魔導師には【守護魔導師】【精霊魔導師】、【召喚魔導師】の三種類がある。
【守護魔導師】は回復・治療・能力上昇・バリアなど多彩な魔法でチームを援護する、守り役の要。他の魔導職と異なり、防御が若干高いという特徴がある。
しかし攻撃の手段が少ないため、単独での冒険は非常に困難である為通常はチームを組んで活動することは確かと言える。
【精霊魔導師】は攻撃魔法には威力が高く広範囲に効果が及ぶものが存在するので、複数の敵を一度に相手にする時などには活躍が期待できる。
しかし強力な魔法の詠唱にはそれなりの時間が必要で、その無防備な間に攻撃を受けると魔法が失敗する恐れもあり、防御力が低いというように欠点も多く、強力な魔法の行使には仲間の援護が欠かせない職業と言える。
【召喚魔導師】はカードや札などを媒介にして強力な使い魔や召喚獣を召喚することで一発逆転の一撃を叩き込むことが可能と言える。【精霊魔導師】と違い詠唱中も移動が可能でありバランスが取れた職業と言える。また【召喚魔導師】は職業の特性から別名【錬金術師】と呼ばれることもあり、様々な武具などを作成、強化することが可能である。
またそれぞれの職業は極めると【守護聖導師】【精霊使役師】【召喚妖魔師】と呼ばれる。
騎士には【聖騎士】【黒騎士 (アイヴァンホー)】【竜騎士 (ドラゴンナイト)】の三職がある。
【聖騎士】は防御力が高く前衛で体を盾として敵からの攻撃を防ぐ役割を担う。また使う技には敵の目を眩ましたりなど敵の足止めをする技が多い。さらに扱える武器種が豊富で、大剣、槍、大弓、盾の四種類が可能となっている。
【黒騎士 (アイヴァンホー)】は防御力がそこまで高くない代わりに攻撃力はすべての職業の中で最も高く近接攻撃に特化している。通常攻撃でも不意打ちであれば相手を瀕死にさせることができる。
【竜騎士 (ドラゴンナイト)】は素早い動きを得意とし、相手を攪乱しほかの職業と協力して敵を駆逐するのが望ましい。また【竜騎士 (ドラゴンナイト)】は単体でもある程度の攻撃力はあり一人でもある程度の活動はできる。
弓使いは少し変わっており【暗殺者】、【盗賊】【狩人】の三職がある
【暗殺者】は素早い動きで相手に近寄り、急所に一撃を打ち込む。使う武器はナイフの二刀流が主流である。ただしその分防御は低く、また体力も低い。
【盗賊】は【暗殺者】程動きは素早くないがその分攻撃力が高い。この職業は相手の足止めのほかに隠れて相手を攻撃できることから1人でも戦闘はできる。この点は【暗殺者】も同じである。
【狩人】はほかの職業が動きにくいような地形が悪いところでも素早く動ける。さらに悪天候でも通常時とほとんど変わらない行動が可能になる。
この聯盟は派生形の9職業がそれぞれ1人ずつで9職全てで作られている。だがこのような聯盟はほかにもある少人数で結成するいわば少数精鋭と呼ばれるものだ。
だが≪月の迷宮≫は違った。
この世に存在する未踏破の迷宮や秘境を攻略しさまざまな大規模戦闘で第一線を担っていた。
だがいつしか≪月の迷宮≫は消滅した。神秘龍の大規模戦闘を最後にさまざまな聯盟や冒険者本部の目の前から姿を消した。
だがいまだに≪月の迷宮≫の噂は絶えない。
盗賊に襲われていた商隊を一人の剣士が救出してくれたこと。雨が降らず作物も畜産物も満足に得られない地域に一人の魔法使いが現れに訪れ水の大魔法を使い定期的に雨が降るようにし、村の壊滅を回避してくれたことなど、弱きを助け強きをくじくの言葉通りの活動をして民衆の支持を得ていた。
だがその反面≪月の迷宮≫を名乗り悪事を働く者も現れた。そいつらは皆一様に≪月の迷宮≫を初めに名乗り商隊から略奪や村に行き村人を虐殺するなどをした。だが≪月の迷宮≫を名乗ったものは皆何者かに殺害された。その遺体の傍には必ずtロットカードの【塔】のカードが置いてあった。
犯人はだれが見ても≪月の迷宮≫の構成員の一人の仕業だと分かった。
フレイア・クラスト・リヴェリエ。通称≪月華の道化師≫
著レオ・スルト・ダニア
≪月華の道化師≫、そう呼ばれる少年が今日、≪王立シュレイド書堂院≫に入学した。
「さてと......そろそろ行きますか。」藍色のローブを着た銀髪の少年が≪酒処レーヴェ≫と書いてある場所から出てきた。でてきた途端大欠伸をかましている。≪酒処レーヴェ≫から出て目の前にある大通りを≪王立シュレイド書堂院≫に向かって歩いていくと後ろから少女が抱き着いてきた。
「ん?ルナどうしたの?」いまだに欠伸をしながら後ろから抱きついてきた少女、≪酒処レーヴェ≫の一人娘ルナ・シルフィードはにこにこしながら腰のあたりに抱き着いている。
「どうしたの?ルナ」眠たそうに半目になった状態でいまだ抱き着いたままでいるルナに尋ねる。
「今日から学校行くんでしょ?学校は全寮制ってお母さんが言ってたからもう会えないんでしょ?」先ほどまでの笑顔と打って変わって涙目になるルナ、その姿を見て罪悪感を感じるフレイア。どうしようかと考えていると「あたま......撫でて......」と消え入りそうな声で呟いてくる。その言葉を聞いて頭を撫でる。
「えへへ......フレイア......行ってらっしゃい。」若干涙を流しながらも百点満点の笑みでそう言ってくる。
「うん。行ってくるね。」こちらも百点満点の笑みで言い人ごみの中に消える。
「ふぁー。そろそろ行かないとほんとにやばいな。」苦笑いを浮かべてから走って書堂院に向かう。
書堂院に着くと校門に着くと一人の女性が立っている。
「えっと。君がフレイア・クラスト・リヴェリエ君でいいんだよね?」薄い亜麻色の髪をポニーテールにした少女がそう尋ねてくる。その腕には分厚い書類が抱えられており入学者の名簿であろうことが一目でわかる。
「え......はい自分がフレイア・クラスト・リヴェリエです。」若干驚きながらもしっかりと答える。
「えっと......君は【魔術科】でいいんだよね?」手元の書類を確認しつつそう尋ねる。
「【魔術科】?」何を言ってるのかわからず首をかしげる。
「えっとね、この書堂院にはね、大まかに分けて【魔術科】と【剣戟科】の二つの学科があるの。それでね、君は魔道師だから【魔術科】に分類されるんだよ。あっ!それと私名前名乗ってなかったね。私の名前はクローディア・スルト・メリア。呼び方クローディアはでもメリーでもどっちでもいいよ。」亜麻色の髪の少女クローディアはそう名乗って頭を下げてきた。
「あっよろしくお願いします。」こちらも頭を下げる。
「講堂で院長の話があるからそっちに行ってね。」講堂のほうに指をさして向かうように促す。
今日ここからフレイア・クラスト・リヴェリエもとい≪月華の道化師≫の生活が始まった