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密着・オンライン警察24時!!  作者: 木魚
一章 イベント編
9/19

一時休戦

銃弾と何かがぶつかり合い、甲高い金属音を鳴らす。続けざまに二回三回と同じような音が鳴る。俺がまずやるべきこと、それは相手の武器が何かを突き止めることだ。

 まぁ、ほとんど推測は付いているが。攻撃をほぼノーダメージで弾く防御力に加え、鈍器として攻撃にも使える武器、この情報だけでも充分分かる。


「いろいろ聞きたいことはあるが、まずお前の武器……それはズバリ『盾』だろう?違うか?」

「うん、そうだよ~。ま~わかるよね~、そりゃそっか。ご褒美にボクの名前を教えてあげるよ。僕はカザミって言うんだ~。そんじゃまあ、自己紹介も終わったし、そろそろ本気で行こうか?」


 言い終わると同時に、奴――カザミは走り出した。それも今までとは段違いの速さで。同時に纏っている雰囲気も変わった。今までの生易しい物じゃない。もっとトゲトゲした、殺気に似た物だ。一瞬呆気にとられた俺に接近したカザミは右腕を構えた。右手を赤い光が包み込んでいく。直感で分かる。これを貰うのはまずい。


「いくよ、《リフレクトクラッシュ》!」


 右腕が振り抜かれる。俺は本能の赴くままに後ろへ飛んだ。スキル《バックドロップ》だ。スキルの恩恵もあり、間一髪だったが躱すことに成功した。もし万が一あれに当たっていたら、HPを四割は持ってかれただろう。

 なんて呑気なこと考えてる場合じゃない。スキル後の硬直で動けない今が最大のチャンスだ。手錠ギミック《伸縮》を思考発動型により使用。カザミの腕に掛けた。続けざまにこちらに引き寄せ、頭に銃を突きつける。

 

「捕まえたぜ。そんじゃあ、質問の続きと行こうか」

「アハハハ~。やるね~。ボクを捕まえるなんてさ~。」

「その喋り方、やめたらどうだ?素じゃないんだろ?」

「……わかるかい。じゃぁ普通でいさせてもらうよ」


 食えない奴だ。とにかく今は質問を続けよう。


「まず聞くぞ。その戦闘技術はどこで身に着けた。どう見ても素人の物じゃない」


 最初に放った《ソニックバレット》を防がれた時から思っていたんだ。急に動きを早くしたときの殺気などから考えても、こいつは間違いなく素人じゃない。首謀者の関係者という可能性だって見捨てることはできない。

 

「あぁ、そのことね。何、難しいことじゃない。ただ俺がベータテスターだったってだけさ。リアルでちょいと武術をかじっているのもあるがね」

「ベータテスター?そういうことか。納得がいった」

「それは良かった。それじゃあ、早く離してくれるかな」

「……とでも言うと思ったか」


 今の説明では納得できないことがあるんだ。それが分かるまで離すことは出来ん。


「いくらベータテスターで戦闘に慣れたと言っても、殺気を出せるほどにはならんはずだ。あのころはまだ普通のゲームだったはずなんだからな。俺のような普通とはちょっと違う仕事に付いてるならまだしも、普通の人間なら殺気なんて狙って出せる訳がない」

「ア……ハハ。ボクが殺気を出したって?そんなわけないじゃないか。ボクは普通の民間人だよ?勘違いだよ」

「こちとらプロだぞ。誤魔化せると思うな。正直に言え」


 俺は引き鉄をを持つ指に力を込めた。場合によっちゃあタダで帰すわけには行かなくなる。

 さぁ、いったいどんな答えが返ってくる。


「はぁ~ぁ。わかったよ言うよ。ここで沢山の人を殺したからだよ。ヒットマンとしてね。憶えているだけでもざっと二十人は殺したかな?ちなみにレベルは十八。あぁ、ベータテスターだったのは嘘じゃないよ。この盾だって、ベータのころに取得方法を知ることが出来たんだから」


 ……嘘は言っていない。全部本当の事だ。つまりこいつが二十人以上殺したというのも事実。そんだけの人数を殺してりゃあ、幾つか命の危機にも出くわしたはず。ある程度センスがあれば殺気を出すほどにもなるだろう。でも、それより知らなかった。こんなやつがいるなんて。もしかしたら、こいつより多く殺しているプレイヤーもいるのかもしれない。くそ、考えたら腹が立ってきた。勿論自分の無力さにだ。


「……なぁ、銭型。悔しいのは分かるが、今はそれどころじゃないぜ」

「おい、なんで俺の名前を知ってるんだ」

「俺等、ヒットマンプレイヤーの間では、それなりに有名なんだって。そんなことより、手錠これ外せ。気付かぬうちに大変なことになってるぜ」

「大変?どういうこと……ってなるほどな」


 確かに、これは大変なことだな。俺たちが闘っている間に、いつの間にかポリスが近くに来ていた。俺たちが気付いたのと時を同じく、あちらも気付いたらしい。数は二体だが、やれるか?


「少しドンパチやりすぎたね、銭型。なぁ、一つ提案なんだが、ここは一時休戦しないか?」

「……くそっ、仕方ねえ。だが、次に手錠を掛けたその時は、即監獄行きだからな」


 残りプレイヤー数は三ケタにまで減っている。ここを乗り切れば本線への出場もぐっと近づく。自分の無力を嘆くのは後だ。今は……目の前の障害をぶっ潰す。


「行くぞ、カザミ。先手必勝だ」

「ああ、任せておきな」

 

 

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