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八二天下  作者: グリーンわさび
第一期
4/12

飲んでみる苦? パート1

ちょい汚いシーンが流れるかもしれません。

ご注意ください。

「ハロー。アイム聡、宮園」

「佐伯でーす」

「高村でーす」

「そこは乗ろうぜお前ら」


今日の舞台は宮園の自宅だ。登場人物紹介でも書かれているとおり、宮園は上流家庭出身。住んでいる家は中々広く快適だ。何というか上品な感じがする。

三人は今、リビングにいる。そのリビングも普通の家のそれと比べればかなり広い。


「今日は室内なんだ。どこに飛び込むの?」

「安心しろ。今日は飛び込まない」

「お~、さすがに三回目も飛び込みだとあれだよな」

「そうだな。マンネリ化してしまいそうだから、

今日はちょっと別なこともしてみようと思う」

「で、今日はどうするの?」

「実はな、俺の部屋から凄い物が見つかったんだ」

「凄い物?」

「あぁ。今日はそれを三人で飲もうという訳さ」


「……嫌な予感がするな」


高村がぼそっとつぶやいた。


「んじゃ、ちょっと待ってろ」


二人に言った宮園は、リビングを出ていく。

ドン、ドン、ドンと階段を上る音が遠くなっていき、聞こえなくなった。

二階に到達したのだろう。




しばらくすると、再びドン、ドン、ドンと階段を下りる音が聞こえ、

宮園がリビングに戻ってきた。

左手にはビニール袋、右手にはある物が握られている。

佐伯はそれが何か気づき、それに指をさして言った。


「お、牛乳じゃん」

「そうだ」

「それの何が……、うっ!?」


何が凄いものなんだと言うまでに、悪臭が佐伯の鼻を襲撃する。

思わず声が飛び出てしまう佐伯。明らかに嫌そうな表情をしている。

高村はやっぱりといった表情を見せているが、

見える未来に恐怖している感じでもあった。


「おい、それってまさか……」

「あぁ、期限切れの牛乳だ」

「何でそんなもんあんだよ!? クソッ。くせぇ」

「何か異臭がすんなーと思ってほっといたら全然匂い消えないから

何だろうと思ってさ。机の引き出し開けてみたら何故かあった」


「お前バカじゃねぇのかマジで」


佐伯の問いに淡々と答えていく宮園に、苦渋な表情で毒舌を浴びせる高村。

目の前のモノが放っている悪臭にこれっぽっちも怯みを見せず、

しかも楽しんでいる宮園。さすがはリーダーである。


「コップに入れたらコップがやばいから、そのまま回して飲んでいこう」

「あぁ。このビニール袋って、アレね」

「そうそう、救助袋だ」




飲む順は宮園、佐伯、高村。

交代交代で飲んでいく。

これを牛乳が無くなるまで繰り返す。

もし耐えられず吐きたいときは、目の前にあるビニール袋に出す。

ここで宮園が一つ提案した。


「単に飲むだけじゃつまらないな。

吐いた回数の多い奴には罰ゲームってのはどうだろう」

「こんなもん飲む事態が罰ゲームだろ!」

「ハッハッハ、一番吐いた奴はこの前俺がやった、

橋から川へダイブだな」

「勘弁してくれよ、こんな毒飲まされて一番吐いたら罰ゲームとか、

泣きっ面に蜂もいいところだ」


高村が本気で嫌がっているのだろう。

さっきから一言も発していない。

明らかに顔が引きつっている。




「んじゃ、俺から行くぞ、スタート!」


ぐいっと躊躇無くパックを傾け、

牛乳を注ぎ込んでいく宮園。その姿に唖然とする二人。


しかし、


「ブホッ!!」


吹き出した。彼でも耐えられないようだ。

口をパックから離し、ゴホッゴホッと咳き込む。


「お前……」


佐伯が語りかける。宮園は佐伯に牛乳を渡した。


「さぁ、次は……うえ、ゴホッ。お前だな」


「やめようぜ、お前でもそんなんなるなら俺たちに出来っこねぇよ」

「大丈夫だ高村。自分に自信を持て」


ぐっと親指を立てて高村に向ける。

もはや突っ込む気力もない高村。




「くっそ、いっちょ一気行ってみるか!」


おお~と反応する宮園。

佐伯は一気に牛乳を口の中へ注ぎ込んだ。


一秒半ぐらいたつと、すぐにパックを離した。

吐くまいと悶絶した表情で堪えている。

うええ、と何度も体が外に出そうとしているが、

佐伯は必死に体を説得している。

出せば罰ゲームに一歩近づくのだから耐えろと。


しばらくすると、体は納得したのか落ち着いた。

苦悶に満ちた表情になっている。

テンションがげんなりしてしまったようだ。

普段は明るいのに、とてつもなく暗い。




そしていよいよ一番拒絶していた高村の番だ。

カメラを佐伯に持たせ、宮園がテーブルに置かれている毒を高村に手渡す。


「……飲まなきゃならんのか?」

「もちろんだとも」

「あの明るい佐伯があれだぜ?」

「ありゃ、ずいぶんと暗くなったなぁ」


苦笑いしている佐伯。


「あぁくっそ!」


半ばやけくそになって口に注ぎ込む高村。

しかし、


「ゴホッ!!」


とすぐに吹き出してしまった。


「グアアアアアア」


あまりのまずさにとりあえず叫ぶ高村。


「今のはノーカウントだな。もう一回だ」


追い打ちをかける宮園。鬼だ、この男は。


「ウオオオ」


もう一度口に注ぎ込む。今度は少し飲めたものの、

またも吹き出した。

さらに袋の中に口を突っ込み、全部吐き出してしまった。


「あら~吐いちゃったか。高村、1ミスな」

「あんたの前じゃ悪魔も逃げ出すよ」


淡々とミスカウントする宮園に佐伯が言う。


ゲッホゲッホと咳き込みながら宮園の方へ顔を向ける高村。

苦悶と若干の怒りが混じった表情だ。


「クソッタレ、最悪だよマジで」

「ハハハ、大丈夫だよ。着々と少なくなってきているしな」


パート2へ続く。

はーるよ来い!

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