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Side:クマちゃん-2-

 駐車場で車からおりると、駐車カードをズボンのポケットに忍ばせて、クマちゃんはバンビと腕を組んで歩いていった。

 今日のバンビーナはとりわけ機嫌がいい……ということは、レンという奴に会えるのがそれだけ嬉しいということなのだろうか?

 クマちゃんはバンビがベッドの中でしてくれたあれやこれやのことを思いだし、それと同じ体験をしているかもしれない男とこれから会うかもしれないと思うと、やはり気分が沈みがちになった。

「レンって、すっごくいい奴よ。あたしに対しては冷淡だけど、たぶんレンも、クマちゃんみたいな感じの人、すぐ好きになると思うな」

「そうかな」 

 クマちゃんはバンビのその一言を聞いて、ますます不安になった。

 どうもそのレンとかいう男が――「ふ~ん。バンビ、おまえ結婚するのか。そいつがどんな男なのか見てやるから、画廊まで連れてこいよ」といったような、自分のことを嘲笑いたい魂胆があるのではないかという気がしてならない。

 ドアを開けると、チリンチリン、と頭上で鈴が鳴った。

 その音が妙に小気味良かったためだろうか、クマは思わず無様ともいえる格好で、ドアの上をじっと見上げてしまう……。

「そんなに、珍しいものでもないですよ」

 ハッとして前に視線を向けると、自分と同じく百八十センチはあろうかという身長の、スラリと背の高い青年が目の前に立っていた。

(ま、負けた……)

 クマは、身長は同じでも、自分のように軽く太り気味でない青年を見て、そう悟った。

 しかもなんなのだろう、彼から漂う、この一種高貴とも受けとれるような清潔な雰囲気は……。

「今日は、そちらのほうで軽い立食パーティがあるので、ご招待したんです。このビッチが、いえ失礼。サクラさんが結婚すると聞いたものですから、相手は一体どんな人なのだろうと思いまして」

 クマが外人並みに毛深い手を差しだすと、レンという青年はしっかり彼の手を握り返してきた。

 まるで、やましいところは何ひとつない、とでもいうように……。

「ビッチは余計よ!それにそんな言い方したら、クマちゃんが誤解するでしょ。あんたとあたしの間に何かあるんじゃないかって」

「そんなもの、逆立ちしたって何もでてきやしないだろうが。それよりおまえ……」

 ここでレンという青年は、バンビの耳元に低い声でこう囁いた。

「こんな三流の絵がどうして二十七万もするのかしらとか、本当のこと言うなよ。一応うちにとっては大の得意客なんだからな」

「もう、あんたがあたしのことをどう思ってるのか、今の一言でよーっくわかったわ!どうせあたしには芸術に対する真の理解なんてものは持ち合わせがないわよ!それに、社会人として礼儀をわきまえた態度をとることだってちゃんと出来るんですからね!」

「本当にそうならいいんだけどな」

 クマちゃんはこのやりとりを聞いていて、このふたりは本当に「ただの」友達なのだろうかと思いはじめた。何より、一番大きいのは彼がすでに結婚しているという点だ……それも、一緒にアフガニスタンで人道支援を行っていたという、立派な志の女性と。

 クマちゃんは突然自信を取り戻すと、いつもどおり堂々とした態度で愛しのバンビーナをエスコートしよう思った。ダブルのスーツの袖口には、ブルガリのカフスボタンが見え隠れしているし、中に着ているのはドルガバのクールビズ仕様のワイシャツ……そうだ、一体何を恐れることがあるだろう?何より、自分の隣にいるバンビーナときたら、今日もとってもゴージャスな装いなのだから。

 クマちゃんはバンビーナと腕を組みながら、立食台のあるギャラリーの一室へ足を踏み入れ、壁にかかっている絵を一枚一枚ゆっくり眺めていくことにした。入口のところには<鈴木一郎絵画展>という大きな札が立っている。

(鈴木一郎?たぶん彼と同姓同名の人間は、日本に百万人はいそうだな)

 そう思いつつ、おそらくは旅行先でためたスケッチと思しき絵に彩色が施された絵画を、クマちゃんはなんの感慨もなく見ていくことにする……絵の下には一枚一枚、¥270,000だの¥480,000だのと結構いい値段が提示されているのだが、すぐ隣のバンビーナを振り返ると、彼女は何度も首を振っていた。

 どうやら、バンビーナも自分とまったく同じことを感じているらしい。「この絵に、そこまでの値打ちはないわ」と……。

 クマちゃんはバンビーナ以上に社会人としての良識的意識が強かったので、一枚一枚の絵の前で立ち止まり、じっくり鑑賞している振りをしていたけれど、バンビーナはどれもこれも似たりよったりの絵に飽きてしまったのだろう、立食台の上にあるワインやシャンパン、それにオードブルなどに手を伸ばしはじめている。

「どうも、初めまして。こんにちは」

 不意に青いスーツ姿の年配の男性がすり寄ってくる気配がしたかと思うと――彼はおもむろにクマちゃんに対して握手を求めてきた。

「どうも」

 そう言って握手し、クマちゃんはついいつもの習慣で、スーツの内ポケットから名刺を取りだしてしまう。

「おお、素晴らしいですね。あの有名な会社の社長さまですか。あ、今は社長ではなくCEOというんでしたっけ?」

「そうですね。まあ、ちょっとエライおじさんの略語みたいなもんですよ」

 これまで、百万回はしてきたであろう、そんな社交辞令的会話を交わし――クマちゃんは鈴木一郎氏と笑いあった。

 そして彼に張りつかれるような格好で、一枚一枚の絵について、色々と説明を聞くはめになる……ふと後ろを振り返り、バンビーナに助けを求めようとするが、彼女は先ほどのレンという青年だけでなく、もうひとり長い髪を束ねたホスト風の男に挟まれて、何か談笑しているところだった。

(一体なんなんだ、あの男は……)

 クマちゃんの心にむらむらと嫉妬心がわき上がってくるが、隣で「この絵は、妻とヴェネチアへ旅した時にスケッチしたんです」などと説明してくれるアマチュア画家のことを、邪険にも出来ない。

 そう、鈴木一郎氏は自分でも認めているとおり、プロではなくただのアマチュア画家だった。

 定年後、以前から趣味だった絵に本腰を入れて取り組むようになり、今日来ているお客というのも、彼が定年前に色々つきあいのあった人々が大半だという。

 クマちゃんは富士山が描かれた絵の前で、社交辞令的気持ちから鈴木氏に世辞を並べることにした。「やはり、なんといっても富士山は日本の心ですからねえ。その心の部分が実によく描写されていると思います」とかなんとか……そしてその¥550,000する絵は、すでに売約済みという札がかかっていたが、それが何故なのかもクマちゃんにはよくわかるような気がしていた。

 少なくとも、鈴木一郎氏の描いた絵の中で、家のどこかに飾ってもいいと思えるのは、この富士山の絵くらいのものだったからだ。いや、絵それ自体はどれもそう悪いものではないが――どの角度から眺めても本当に素晴らしい!といったようなインパクトを受けるようなものは、残念ながら一枚もなかったといえる。

 その後の会話で、鈴木氏が定年前は製剤会社の社長をしていたこと、ふたりいる息子のうち、ひとりは医者、もうひとりは彼のあとを継いで社長の椅子に収まっているということがわかり、クマちゃんはすぐにピンときた。

 ¥550,000とか¥320,000とかいう金額の絵に「売約済み」と札がかかっているのは、つまりこういうことなのだ。某大病院で医者をしているという鈴木氏の長男にコネが欲しい人物は、まず父親の彼とねんごろになろうとするかもしれないし、製剤会社の社長の椅子に収まっている次男に口を利いてほしいような場合も、同様だろう……クマちゃんは大屋政子にそっくりの鈴木氏のワイフに紹介される段になると、(もしや自分は嵌められたのか?)と、どこか恨めしい気持ちで立食台で給仕しているレンという青年のことを振り返った。

 もちろん、この中の絵を一枚買うくらい、クマちゃんにとっては屁でもないことではあった。

 実際、絵画展でなくても、この種のパーティにクマちゃんは参加することが多く、そういう場所でお義理的に寄付したり何がしかの物を購入する契約書にサインしたりといったようなことは――これまでに数え切れないほどあったことである。

 だが今、クマちゃんは自分のビジネスと関係ないところに位置していそうな鈴木氏、その彼の描いた絵を買いたいと思えなかった。いや、いつか何かの形でそうしたことが役に立つという可能性がないとはいえないかもしれない。

 でもクマちゃんは今日に限っては、何故かそんなふうにはまるで思えなかったのである。

 ギャラリーの入口に、どうやら知り合いらしき年配の夫婦が現れると、「ちょっと失礼」と言って鈴木夫妻はそちらに去っていった。

「絵を買うまでは離しませんよ」といった感じのプレッシャーから解放されたクマちゃんは、ホスト風の男と話しこむバンビーナにチラと視線を送ってから、ひとり展示室の外へ出ることにする……画廊の中はエアコンが効いていてとても涼しいのに、脇の下にぐっしょりと汗をかいているのを感じた。

 広いロビーにいくつかリヤドロが飾られているのに気づいたクマちゃんは、とりあえずそれを見ている振りをしようと思った。羽根の生えた妖精がヴァイオリンを弾いていたり、その音楽の音に合わせて花の精たちが踊っていたりという、なかなか心休まる美しい作品だった。

 値段などは書かれていないので、おそらくこれはギャラリー・ガロが所有しているものなのだろうとクマちゃんは思う。もしこれが本物のリヤドロなら、このクラスのものは結構な値段がするだろうとも、クマちゃんはケースの中を覗きこみながら思った。

 そしてアールヌーヴォー調の曲線を描いた階段を上がり、二階へいってみたいとクマちゃんは考えたのだが(吹き抜けになっているので、そちらの廊下にも色々な彫刻品が並んでいるのが見える)、残念ながらそちらへはベルベットのロープがかかっていて、<立ち入り禁止>となっていた。

『レンの奴はね、二階にあるギャラリーのほうで自分の作品を展示してるのよ!』――ここへ来る間に、バンビーナが車の中でそう言っていたのを思いだし、クマちゃんはベルベットのロープを跨いで上へ行ってみることに決めた。

(あの小僧が一体どんなものを描いているのか、見てやろうじゃないか)

 というわけである。

 もしあとで何か咎められたとしても、言い逃れる術ならいくらでもあると思った。

 何しろ、ベルベットのロープは<立ち入り禁止>の意を表してはいるが、<立ち入り禁止>という札が立てかけられているというわけではなかったので――「自分は二階にあるミズシマくんの絵のほうを見たくて今日は来たんだ」とでも言えば済むことだと思った。

 二階の廊下には、ショーケースに入れられたエミール・ガレのランプやルネ・ラリックの香水瓶などが置いてあり、クマちゃんは一瞬(これは本当に本物なのだろうか?)と訝しみつつ、それらの美術品を眺めやった……(これはたぶんジャコメッティの作品だよな?もし本物なら、びっくりするくらいの値段がつくはずだが、サザビーのオークションででも落札したのだろうか?)――クマちゃんが二階の展示室へ入る前に、廊下で随分時間を取られていると、不意に階段を上がってくる人の気配があった。

(しまった!)と、クマちゃんは思い、狼狽する。

 まるで、高価な美術品を盗みに入った泥棒のような気持ちだった。

「すみません、今日は別に絵を売りつけるつもりでお呼びしたわけじゃないんです」

 レンという青年が、相変わらず気の利いた礼儀正しさをもってそう言った。

「ただ、サクラの奴が結婚するって聞いたので、あんなアバズレ……いえ、彼女のような女を乗りこなせる男はどんな人なのか、興味があったものですから」

「ははは」と、クマちゃんは愉快そうに笑った。演技ではなく、突然本当に愉快な気持ちになった。

「バンビーナ……いや、彼女のような女性は、どんな男にも乗りこなせませんよ。彼女が馬に乗って走っていく後ろを、半馬身くらい離れたところからようやく俺は見ているといった感じですね。ところで、このジャコメッティの彫刻は、本物なんですか?」

 レンという青年は、一瞬顔の表情を曇らせると、声のトーンを落として言った。

「残念ながら、偽物です。その、もしかしたらサクラから聞いてるかもしれませんが、ここの画廊の前オーナーが首吊り自殺した原因がそれなんですよ。そちらにあるラリックの香水瓶もガレのランプも偽物なんですが――彼は相当な金をだしてこれらの美術品を買ったそうです。でも騙されていたと知り、ショックを受けるあまり自殺したということでした」

「そうですか……」

 クマちゃんはなんとなく居心地悪そうにズボンのポケットに手を突っこむと、吹き抜けの廊下から下のロビーを見下ろした。バンビーナが自分を探してうろちょろしているのが見える。

「Hey,バンビーナ!」

 ついそう呼びかけてしまってから、クマちゃんはミズシマ青年を見返して赤面した。

 彼女のことをバンビーナと呼ぶのは、公衆の場ではなるべく避けることにしているのに。

「クマちゃんにバンビーナですか。いいですね、なんだか微笑ましいです」

 内心馬鹿にしているというのでもなく、侮蔑しているような感じでもなく――本心からそう言われた気がして、クマちゃんはこの時かなり上機嫌になった。

 本当は、レンという青年の絵にどのくらいの値打ちがあるものなのか見定めて、彼の絵を一枚くらい買ってやろうかと思い、二階へ上がってきたのだけれど。

「ねえ、レン。あの吾味さんっていう人、本当にゲイなの!?あんな格好いい人が吾味悟郎なんていう名前でゲイだなんて――世の中狂ってるとしか思えないわね!」

(そうだったのか)と思い、クマちゃんは思わず大きな声で笑ってしまった。

 レンという青年もまた、つられるように大笑いしている。

「サクラって、時々本当に面白いよな」

「いや、時々なんていうもんじゃない」と、クマちゃんは言った。「彼女はいつも、どこにいても何をやりだすかわからないくらい、面白い人ですよ」

「そこが良くて結婚を決めたんですか?」

「まあ、そういうことにしておこうかな。他にも色々、理由はあるにしても」

「なあに?まさかとは思うけど、男ふたりで秘密の話をしてたってわけ!?」

 仲間外れにされたことを憤慨するように、バンビーナは腰に両手を当てている。

 ゴールドとベージュの中間くらいの色合いをした、ミニスカドレスをバンビーナは着ていて、その服は彼女のスタイルのよさを際立たせていたといっていい。

「いいや、俺はミズシマくんに美術の講義を受けていたっていう、それだけだよ。本物と贋作を見抜くにはどうしたらいいか、とかね」

「おまえ、そこにあるラリックの香水瓶、本物だと思うか?」

 レンという青年が話を合わせてくれる。

「んっと……」答えいかんによって馬鹿にされると思ったのか、バンビーナはどこか慎重な顔つきになっていた。「本物なんじゃないの?だって、わざわざショーケースに入ってるくらいだし」

「バカだな。偽物の作品ってのは、大体額とか入れ物のほうが中身より高価で値打ちがあるものなんだよ。そうすることで、本当は偽物だっていうことを少しでも誤魔化そうとするわけだ」

「何よ!あんたのこのギャラリーじゃ、わざわざ偽物をケースに入れて展示してるっていうの!?」

「そうだよ。おまえみたいに見抜けないバカのほうが世の中には多いからな」

「あんたのその言い方、超ムカつくわ!!」

 そう言ってハイヒールの踵で、バンビーナがレンという青年の足を思いきり踏みつける。

「いってーな。それより、安心したよ。おまえの結婚相手が思っていた以上にまともそうな人で……紫のメッシュの髪をした、売れないロックバンドのギタリストとかだったらどうしようと思ってたけどな」

「あんたこそ、バカね、レン。クマちゃんはあたしの知るかぎり、最高にリッチで優しい、あんたと違ってレディファーストってもんをわきまえた大人の男なんだから!ほら、見なさい!あんたが逆立ちしても買えないようなこのロレックスの時計を!!」

 バンビーナがクマちゃんの左手首を持ち上げる。

「ああ、眩しくて目が潰れそうだとでも言えばいいんだろ?そういえばさ、このビルの四階にハワイアンっていう喫茶店があって、なんでもただで食べれるんだけど――三人で食事しないか?俺、これから一時間くらい休憩時間だから。まあ、下流の味わかんない人間が舌鼓を打つ、三流の店に抵抗ないならってことだけど」

 バンビーナが愉快そうにくすくす笑ったので、クマちゃんは「もちろんいいとも」という顔の表情をして頷いた。

「何よ、このパスタ馬鹿うまじゃないの!」と言いながら、日曜の昼時だというのに閑古鳥の鳴いている店で、その後バンビは色々なものを注文した。ピザ、チョコレートパフェ、ケーキセットなどなど……そして「お腹きつーい!!」などと言いながら、最後にずるるるる、とアイスティーをストローで吸いとっている。

「これだけ食べてただっていうのは、流石に申し訳ないよ」

 バンビーナと違い、社会的良識意識の強いクマちゃんは、グッチの財布の中から壱万円札を抜きとろうとした。

「いえ、いいんですよ」と、レンという青年が笑って言う。

「ここのおかみさん、もう二年も家賃を滞納してますから……たまにはこういうことでもないと、もう二度とテナント料を払わないままだと思いますからね。だから、いいんです」

「ふう~ん。普通二年もテナント料を滞納してたら、出てってくれって管理会社の人とかに言われるものなんじゃないの?」

「まあ、ここのビルのオーナーは吾味さんだからな。彼がそれでいいって言ってる以上は、出ていかせることもないんじゃないか?何しろ、このビルが建設された時からずっと、このハワイアンはあったってことだから……長いつきあいのよしみって感じなんだろうな」

「そういえば、ハワイで思いだしたけど、あたしとクマちゃんはハワイで結婚するから、あんたも来てね!奥さんと一緒に!!」

 ハワイアンという名前のわりに、レイレイとかウクレレとか、ハワイを連想させるものが何もないと思いながら――クマちゃんはあらためて店内をきょろきょろと見返していた。

「ハワイか。まあ、旅費をふたり分出せるかどうかが問題だな。何分、こちとらオサレなセレブってわけじゃないからな」

「えっ!?あたし、あんたにだけは絶対来てほしいのに!!旅費のふたり分くらい、あたしが出してあげるわよ!」

「そういうわけにもいかないだろ」 

 クマちゃんはこの時になると、レンという絵描きの青年と自分の恋人・バンビーナが100%に近いくらい本当にただの友達なのだろうと思って――かなり寛容な気分になっていた。

 そこで、こんな提案をしてみることにする。

 なるべく、金にものを言わせる成金親父といった感じにならないよう、気をつけながら。

「その、どうかな。俺はさっき危うく、三流アマチュア画家の作品を買わされそうになったけど……実をいうと、まあ一枚くらいなら義理で買ってもかまわないと思ってたんだ。もし俺がミズシマくんの絵を買うことで、それがハワイ行きの旅費になるならってそう思うんだが……」

「クマちゃん、最高!!それめっちゃいい案よ!」

 レンという青年は、アイスコーヒーを飲みほすと、少し複雑な顔の表情をしている。

「いや、俺はそういうのって嫌なんですよ。というか、鈴木さんみたいに縁故とか、そういう関係の人には絶対絵を売りたくないんです。もし俺が描いた絵の中で佐々木さんの気に入ったのがあったら――ただで差し上げますよ。結婚祝いにね」

 クマちゃんはレンという青年の高潔な精神性のようなものに打たれて、それ以上その話をしようとは思わなかった。

 レンという青年は、安物のスーツにネクタイをしているという格好だったけれど、ブランド物の服に包まれている自分より、百倍ほども見栄えがいい感じがした。それは何も、彼の容貌が優れているというだけではなく――何か精神的なもののほうの影響が大きいような、そんな気がクマちゃんはしていた。

 クマ公は、ほんの少しばかりではあるが、芸術といったものを理解する感性が自分に備わっていると信じている……だから、この青年の才能のためならパトロンのような存在になってもいいとさえ思いはじめていたが、そんなことを言うのはやはり、成金親父の卑しい根性からくる何物かと誤解されてしまうだろうか?

 なんにしても、この時クマちゃんはミズシマレンという青年の描く絵に強い興味を覚えたので――食事のあと、二階にある彼専用の展示室へ案内してもらうことにした。一階では、縁故というのか義理というのか、何かそういう人たちが鈴木一郎氏の絵を買っており、カウンターで売買契約書のようなものが交わされている……レンという青年がそちらの仕事をオーナーと一緒に処理していたため、クマちゃんはバンビとふたりで階段を上がっていった。

「レンって、ほんと不器用な奴よね」

 溜息を着くように、バンビーナが言った。

 ちょっと食べすぎたわ、と言って、お腹をさすったあとで。

「今日だって、あのエンコ連中を何かの機会に二階まで案内していれば――自分の絵だって何枚か売れたかもしれないのに……そういうのが嫌なんだって」

「なるほどね。でもまあ、そういう彼の純粋な気持ちも、わからなくはないけどね」

 入口のところに電灯のスイッチがあるから、電気を点けて勝手に見ていいと言われたものの、クマちゃんはもう一度だけ階下のカウンターにいる絵描きの青年に目をやった。

 大屋政子似の鈴木氏の奥さんが、「午前中だけでもう、十枚も売れたわ!」などとほくほく顔で吾味というゲイのイケメン男に話している。ああいうのを見てしまうと、ミズシマくんも心境として複雑なものがあるだろうなというのは、クマちゃんにもわかる気がする。

 元製剤会社の社長で、引退後は趣味で絵を描いているという鈴木氏……彼は、高額な値段をつけて絵など売らなくても、年金だけで十分優雅に暮らしていけるはずである。にも関わらず、強欲に己の芸術作品をあっさり金と価値転換して売り飛ばしているわけだ。

 いや、もしかしたら氏はこう誤解しているのだろうか?

 みなはそこに何がしかの利用価値、付加価値があればこそ、鈴木氏の作品を買っていくのだが――これだけ売れるということは、俺にはピカソかマティス並みの才能があるぞ、とでもいうように……。

 鈴木夫妻を見ていてクマちゃんが羨ましいと思ったのは唯一、彼らの夫婦仲がとても良いということだっただろうか。

 一枚絵が売れるごとに、鈴木氏は「どうだい、おまえ?」といった具合に妻の顔を見、大屋政子似の妻は「やるわね、あなた!」といったように、夫に対してニコニコするのだ。

「う~んっと、電気ってこれでいいのよね?」

 変なところを押して、おかしなことになったら大変とでもいうように、バンビーナが展示室の電灯を慎重に点けようとしている。

 クマちゃんはミズシマ青年の手が空きそうにないのを見て、彼の案内は一旦諦めることにした。

 あとで手が空いた時にでも、ミズシマ青年の芸術論を聞かせてもらえばいいと思いながら。

「ギャラリーの中っていうのは、やっぱり絵の管理の関係からか、エアコンが思った以上に効いてて涼しいもんだね。たぶん、この展示室に窓がないのは、強い陽射しなんかのせいで絵が痛むとか、やっぱりそうしたことが考慮されているのかな」

「さあね。あたしはそういうことはよくわかんないけど……レンの奴の才能だけは、確かに本物だと思うわよ」

 クマちゃんは、部屋の中央に白のスタインウェイのピアノがあるのを見て、絵よりもまずはそちらのほうへ歩み寄っていった。

「このピアノは、ミズシマくんの作品ってわけじゃないよな?」

「それは流石に違うんじゃない?」と、バンビーナは笑って言った。「前に来た時、わたしも似たようなことを聞いたら、前オーナーが買ったものだっていうことだったわ。なんかね、このオーナーっていう人がこのギャラリーで首吊り自殺してるんですって。首を吊ったのは事務室で、らしいんだけど――なんか近隣の人の噂によると、時々夜中に誰かがピアノを弾いてる音が聴こえるって話。本当かどうかはわからないけど」

「へえ……じゃあこれは、いわくつきのピアノってわけだ」

 クマちゃんは実は、ちょっとばかりピアノを弾くことが出来るので、その腕前を披露したくもなかったのだが、もともと幽霊話に弱かったため、ピアノに触れるのはやめておくことにした。

 そして、壁にかかったミズシマ青年の絵を順番に見てクマちゃんが最初に思ったのは――彼が二階に人が入って来ないよう、何故ベルベットのロープを引いておいたのかという、その理由についてかもしれない。

 アマチュア画家の鈴木一郎氏とミズシマ青年とでは、お話にならないくらい、才能に違いがありすぎた。ゆえに、もしそんなことをすれば鼻につくくらい嫌味だったかもしれないということだ。

 それに彼は、自分の描いた絵の一枚一枚に値段をつけるような下品な真似もしていない……これで一体どうやって顧客に売るのだろうとすら思うが、おそらく彼は、絵を見た相手の反応を見たり感想を聞いたりして、「この人になら」という人物にその人の出資できそうな金額内で絵を売っているのではないだろうか?

 クマちゃんはそんな気がして、「この絵を五百万くらいで買うのなんか、わしには屁でもないよ!わっはっはっ!!」という印象をミズシマ青年に与えずに彼から絵を買うにはどうしたらいいのかと、本気で考えはじめていた。

 クマちゃんの経営しているインターネット関連会社は、二十七階建てビルの一階から七階、そして二十階から二十七階までを占めている(そしてそのビル自体が実質クマちゃんの持ち物である)、まずは会社のロビーにかかっているあってもなくてもどうでもいいような五流の絵を取り外し――ミズシマ青年の絵をかけてみたいと、クマちゃんはそう思った。

 そうすれば、ミズシマ青年の絵の宣伝にもなるし、もしかしたら彼の他の絵も見てみたいという芸術のわかる人の目に留まり、大口の制作依頼が来る可能性もある。いや、それとも彼はそうしたこと全般を唾棄すべき豚のように太った資本家の汚らわしい考え方として、軽蔑するような感じなのだろうか?

 でも、もしそこまでじゃないなら……。

「この中でもし、気に入った絵があれば、一枚どれでもお譲りしますよ。結婚祝いに」

 黄金の麦の穂が揺れる夜景の絵の前で、クマちゃんはハッと自分の考えごとから引き戻された。

「いや、そういうわけにはいかないよ」

 クマちゃんは何故かへどもどして言った。自分でも落ち着きを失っているのが、よくわかる。それがどうしてなのかも。

「その、君の絵は本当に――<本当のもの>だと思うよ。それに値段をつけて売ってくれとは、俺にはとても言えない気がする。ただで譲ってくれるなんて言われたら、尚更気が重い。出来ればこの絵を、うちの本社のロビーにある、どうでもいいような五流の絵と今すぐ掛け替えたいくらいだが、どうだろう。これは対等なビジネスとして、ミズシマくんに申し込みたいことなんだが、俺はこの絵を君の提示する本当の値段で買いたいと思う。もしこの俺の申し出が失礼なものじゃないなら……」

「そうね。レンが奥さんとふたりでハワイまで来れちゃうくらいの値段でクマちゃんが絵を買うっていうんなら、問題ないでしょ?」

 バンビーナがそう助け舟をだしても、ミズシマ青年はどこか気難しそうに眉をひそめている。

 確かに、絵の価値などというものは、その良さがわかる人には一千万でも納得できても、わからない人には壱万円の値打ちもないものだ。

 その昔、ある保険会社がゴッホのひまわりを五十三億円で落札したことがあったが、絵一枚に一企業がそこまで大金をはたくなど言語道断といったような批判があったことがある……ミズシマくんもおそらくは、売りたくないと思う相手には、五十億積まれても自分の描いたものを売ったりはしないのだろう。

 クマちゃんは目の前にいる青年がもしかしたら、将来的に予想以上の大物になるのではないかと予感して――彼が無名の今の内こそ、水嶋蓮の絵が何枚か欲しいように感じていた。

「考えさせてください。何より、妻の意向も聞いてみないとなりませんから……あと、ハワイまでいく旅費がふたりで何十万くらいかかるのかとか、そういうのも調べてみないと」

「あ~あ、馬鹿なレン」と、バンビーナがジャッキーバッグを空中に振り回す。

「クマちゃんは景気のいいインターネット会社の大金持ちだから、一千万くらいのお金、今すぐささーっと小切手で切れちゃうくらいなのに。それか、手が切れるような新札の詰まったジェラルミンケースを、部下に命じて今すぐ持ってこさせるっていうこともね。だから、遠慮することないのに」

「べつに、いいだろ。それよりこれは、俺と佐々木さんの問題なんだから」

「あ~らそ。でも、あたしにだって関係あるかもよ?だって、クマちゃんとの新居に、あんたの絵が飾られることになるかもしれないんだから」

 ミズシマ青年が珍しくここで、ぐっと言葉に詰まる。

 クマちゃんはそんな彼を助けるように、「いつか君が大物になる前に、まだ値段が安いうちに買っておきたい」といったようなことを真剣に話しはじめた。そして暫く、バンビーナのことを仲間外れにするような形で商談を押し進め――結局、五百万という値段で、麦の穂の揺れる夜景をクマちゃんは購入することが出来たのである。

 一階のカウンターのところで顧客リストに住所や電話番号などを書きこみ、クマちゃんは惜しげもなく五百万円という小切手を切っていた。

「ありがとうございます」

 ミズシマ青年がどこか無表情に頭を下げると、クマちゃんはそんな彼に対してこう答える。

「いつか、水嶋蓮の絵を五百万で最初に買ったと聞いたら、人が驚く日がくるんじゃないかな」と。それから、「そう思えば安い買物だと思うよ」とも……。

 画廊のガロを出て、近くの駐車場まで向かう途中、バンビーナはクマちゃんに開口一番こんな話をしていた。

「それにしても、反吐がでそうなほど俗っぽい夫婦だったわね、あの鈴木って人。絵の売上のうち、10%は慈善団体に寄付するんですって?だったら、10%どころか、70%くらい寄付したらどうって思ったわよ。息子ふたりもいいところに勤めてるんだから、お金に困ってるってわけじゃないんでしょ?レンの爪の垢でも煎じて飲んだらどうなのかしらね、あの夫婦は」

「そうだね。でも、普通に生きていくには、彼らみたいなほうがわかりやすくていいんじゃないかな。逆に、ミズシマくんみたいな生き方はきついと思うね。彼はたぶん、俺以外に彼の絵を五百万で買ってもいいなんていう人が現れても――むしろ素直に喜べないだろうから。鈴木夫妻みたいに「どうだね、おまえ?」、「やったわ、あなた!」みたいな感じのほうが、楽に人生を送っていけるんじゃないかな。彼ら自身、金メッキを磨き上げるような人生で、純金の存在には遠く及ばなかったとしても……むしろそれが世間じゃ<普通>と呼ばれることだから」

「ねえ、クマちゃん」

 バンビーナは駐車場まで辿り着くと、クマちゃんの腕に絡めていた自分の手をほどいて、彼の太い首に両手をまわした。そして背伸びをすると、彼の唇にキスする。

「あたし、クマちゃんのそういうところ、大好きよ」

 クマちゃんは、外の暑さのせいばかりでなく、自分の体感温度が二十度ほども一気に上がったような気がした。そしてバンビーナが運転する車の助手席に乗りこみ――暫くの間、彼にしかわからない考えごとに耽って、沈黙を守ったままでいた。

 シャネルのサングラスをかけたバンビーナも、どうやら自分と同じような様子だとクマちゃんは思う。居心地のいい沈黙……バンビーナはバンビーナで、自分とはまた別に、思うこと、考えることがあるのだろうとクマちゃんは思う。

 午前十一時頃、駐車場から出た時には、クマちゃんはこう思っていた。

 画廊のガロから戻って、もう一度この駐車場へ来た時、果たして世界は同じだろうか、と。

 おそらく自分は嫉妬に腸が煮えくり返りそうになりながらも、顔だけは冷静を装おうと懸命な態度をとっているのではないかと想像していた……もっというなら、バンビーナが結婚前に「わたしには彼のような男性とも一緒になれる道があったことをお忘れなく」ということを見せつけるために――一種の女の策略から、昔の男と思しき人物に会わされようとしているのではないかとさえ、勘繰っていたのだ。

 果たしてその結果は、どうだっただろう?

 かねてより気になっていた水嶋蓮という青年は実に感じのいい好青年で、バンビーナとの関係も過去に数回寝たことがあるとかなんとか、そんな汚らわしいものではまったくなかったのだ!

 しかも、立食台でバンビーナにシャンパンを勧めていた男――彼とバンビーナが話しているところを見て、クマちゃんはこう思った。バンビーナはもしかして「自分はいつも彼くらいの男に軽くモテるのよ」と自分にアピールしたいのだろうか、と。

 だが、それもまたクマ公の被害妄想に過ぎなかった!

『あの吾味さんっていう人、本当にゲイなの!?あんな格好いい人が吾味悟郎なんていう名前でゲイだなんて――世の中狂ってるとしか思えないわね!』

 クマちゃんはバンビーナが言っていたセリフを思いだし、軽く笑った。

「なあに、どうかしたの?」

 信号待ちしている時だったので、バンビーナはクマちゃんを振り返ってそう聞いた。

「いや、なんでもないよ。ただ君は――俺にとって考えられうる限り、最高の女だなと思ってさ」

「やあね、もう。何よ、いまさら!」

 プッと後ろからクラクションが鳴り、バンビーナは信号が青になっていることに、一瞬遅れて気づく。

「ムッカつくー。何よあの、スカイライン野郎!!」

 バンビーナはバックミラーを見上げて言った。

「あたし、運転が下手な男って大っキライ。車のことですぐイライラする奴って、大体早漏なのよ。あと、運転が下手な奴って大概セックスが下手だしね。これはキャバ嬢やってた時、他のみんなも同じ意見だったわ」

「じゃあ、その基準でいくと、俺はどうなる?」

 実をいうとこれからクマちゃんは、バンビーナの実家へ行くところなのである。

 そしてそこからバンビーナの母親だけを連れだし、三人で焼肉を食べにいこうということになっていた。

「クマちゃんは、いつも運転手付きの車に乗ってるから、あまり関係ないんじゃない?だって、クマちゃんが自分で運転してて仮に事故った場合――色々面倒でしょ?下手したらTVのニュースになっちゃうかもしれないし……そしたら株式にも影響でちゃいそうだから、ペーパードライバーでも仕方ないわよ」

「まあね。昔、知り合いの政治家の車に乗ってて、事故に遭ったことがあるんだ。その政治家の後援会の帰り道で、彼の秘書が小学生の男の子を轢いてしまってね。彼は両足とも二度と動かなくなった。まだ小学四年生だったのに、だよ。この政治家はお金を山のように積んで謝罪した……まあ、正確には土下座したのは秘書だけど、マスコミに漏らさないでおいてくれるよう、病院の床に頭をこすりつけたってわけさ。それ以来、自分で車を運転するのがひどく危険なことに思えて、お抱えのベテラン運転手を雇うことにしたってわけ」

「ま、今ももしかしたらすごく危険なのかもよ?」と、バンビーナは笑った。「あたしが軽い接触事故でも起こした場合――クマ印で有名な某インターネット企業の社長、美人脚本家と熱愛デートか!?なんて言われるかもね」

「俺はそういうタイプの有名人じゃないよ。というより、騒がれるとしたら君のほうじゃないかな。あの美人脚本家はあんなクマ公と本当につきあっているのか!?みたいな感じでね」

「それはだいじょーぶ!」と、バンビーナはけらけらと愉快そうに笑う。「だって、文筆業をやってる人間って、マスコミに叩かれにくいもん。なんでかっていうと、メディアって結局連動して動くでしょ?だから、どっかの週刊誌があたしのことを書いたら、そこの出版社にはわたし、一行も何も書かなくなるかもしれないじゃない?だから報道にも慎重になるってわけ。もしあたしが自分を何か物凄い存在だと勘違いして――テレビのゲストコメンテーターの仕事とかやってたら、また別でしょうけどね。でもわたし、そこまで馬鹿じゃないし」

「……君は、本当に賢い女性だな」

 クマちゃんは「そーお?」などと言って笑う、バンビーナのことが突然、愛しくてたまらなくなった。

 出来ることなら、彼女の母親を交えた夕食会など放棄して、このままどこかホテルのスイートにでも駆けこみたいくらいだ。

 でもクマちゃんは、そのかわり全然別のことをバンビーナにしてあげようと閃いた。

 ホテルのスイートへクマがバンビをお姫さま抱っこして駆けこむのは、焼肉を食べたあとでもいい……そのかわり、次に会う時までにバンビーナの好きなシャネルかヴィトンのバッグでも――プレゼントしてあげたいと思ったのだ。




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