200文字小説『最低で、最高の答え』
「なぁ、たとえば食料が二つ、お前と誰かで人間が二人いたとしよう」
隣の男が問いかけてくる。
「どちらの人間も食べなければ死んでしまう、だが一つだけではお前は満足できない。お前ならどうする?」
しばらく考えるふりをするが、自分の中で答えはすでに出ていた。
「決まってる。…二つとも俺が食う」
しばらくの沈黙。
「俺はうれしいよ…お前が俺と同じ、最低の人種で」
雪山で遭難した男が二人。目の前には、たった二切れのパン。
この問い、皆さんはどう答えるでしょうか。
俺の場合、二つとも食べます。最低の答えかもしれないけれど少しでも可能性があるなら、生きたいと思っています。