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第59話「黒炎再臨 ―焚火の影と、蒼の決意―」



 


夜の街に、不穏な気配が漂っていた。

風は止まり、街灯が一つ、また一つと消えていく。


その中心に立っていたのは――“焚火”に酷似した少女。


だが、その目には温もりも、迷いもない。


> 「……“対象”を確認。任務開始」




彼女は、完全なる無表情。感情を持たない、人工の存在。

だが、その姿は紛れもなく、“蒼”の中にいた焚火と瓜二つだった。


 


同時刻、蒼と紅は任務帰りの帰路についていた。


「最近、街の様子が変じゃない? なんか、空気が重いっていうか……」


「……ああ。感じる、殺気と、懐かしい“焦げた匂い”」


紅が首を傾げた。


「焦げた匂い? それって……」


「……焚火、の残り香。いや、焚火“じゃない何か”だ」


 


そのとき――突如、目の前の街路が爆ぜた。


炎の柱が立ち昇り、その中から姿を現したのは――


「……蒼?」


「違う、私は“影”。焚火の記憶から作られた、影法師クローン


「……なんだって?」


 


影の焚火は言った。


> 「目的:蒼の破壊。対象、危険因子。排除せよ」




 


瞬間、炎が放たれた。

だが、蒼は寸前で鞭を巻き付け、紅をかばう形で回避する。


「くっ……焚火の姿で、俺を消しに来るなんて……卑怯だ!」


影の焚火は何も答えず、攻撃を続ける。


だが、蒼の中に――烈火の本能が目覚めていた。


> 『お前は、俺の記憶を模しただけの偽物だ!』




蒼の瞳が深く蒼く燃える。


> 《スキル:融合心炎・発動》




 


炎を鞭に纏わせ、さらにそれを身体に巻き付ける――


蒼の身体が、再び変化する。

炎のアーマーを纏い、“心”を核にした新たな姿へと進化するのだった。


 


紅も負けじと双剣を構え、背後を取る。


「私は……蒼と、愛し合った。私の中にあるのは、“影”なんかじゃない、蒼の“今”よ!」


紅の叫びと同時に、双剣が光を放つ。


 


2人の心と力が交差した瞬間、影の焚火は動きを止める。


「――この記憶……これは……?」


彼女の目が揺らいだ。


蒼と紅は、その隙を逃さず一気に追い込む。


> 「これで終わりだ! 焚火の名を汚すな!」




 


炎と光が交錯し、夜空を照らした。


 


影の焚火は、最後に一滴の涙を零したように見えた。


「蒼……また、会えるかな……?」


 


その姿は、風に消えた。


 


静寂が戻った街で、蒼と紅はただ強く抱き合っていた。


「俺……過去に戻らなくても、ここで全てを守りたい」


紅は静かに頷いた。


「私も……あなたとなら、戦える。未来を選びたい」


 


2人の“未来”が、今始まろうとしていた。






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