第58話「記憶石に刻まれし、烈火と焚火」
蒼の手の中で、紅く脈打つ《記憶石》が、ゆっくりと輝きを放つ。
「これが……“私の記憶”? いや、“あの時”の――」
紅とともに敵を制圧した後、蒼は《記憶石》の前に立っていた。
静かに、石に触れる。すると――
世界が、反転した。
まばゆい光の中、目の前に現れたのは――
赤髪の少年。鋭い目、燃えるような声。
> 「俺は――烈火」
> 「俺は、異世界で死んだ。戦いの果てに、何も守れずに……」
「烈火……」
蒼の心がざわめく。“その声”に覚えがあった。
> 「そして、君は……焚火。俺と同じ時に、別の世界で死んだ魂」
「……っ!」
思い出す。死の間際、感じた“誰か”の痛み。
それは、別世界で死んだもう一人の自分、“烈火”の記憶だった。
> 「魂が混ざったのは偶然か、運命か。けれど、俺たちは一つになった」
> 「……お前は、俺であり、焚火であり、そして今――蒼だ」
その言葉に、蒼の胸の奥から熱い想いが湧き上がる。
> 『命を懸けて、守りたいものがある』
> 『繋がった魂は、誰かを愛するためにある』
紅の顔が、浮かんだ。
心に灯る、柔らかくも激しい光。
ただの“好意”ではない。それは――愛だった。
「……紅」
現実へと意識が戻る。
蒼の目に、心配そうに見つめる紅の顔。
「目、覚めた?」
「……ああ」
蒼は、そっと彼女の頬に触れる。
「俺は、何度も生まれ変わって……それでも、君に出会うためにここに来た気がする」
紅の頬が、ふわりと赤く染まる。
「な、なによ、いきなり……バカ……!」
「……だから、君が好きだ。愛してる」
言葉とともに、再び唇が重なる。
心が、魂が、体が――“ひとつ”に溶け合っていくように。
《スキル:愛の付与・融合進化段階へ》
《効果:紅と蒼、共鳴時に能力・思考の共有可能》
《条件:心身の完全な一体化……完了》
静かに、蒼の身体から紅色の光が溢れ出した。
2人はただ、強く抱き合っていた。
その未来に、どんな困難があろうとも。
――愛がある限り、魂は決して離れない。




