第51話「記憶の棘と、現れし影」
──自分を殺した男の姿。“アスモ”。
蒼は鞭を構える。
それは、思考より先に身体が反応した本能。
紅も双刃を構え、蒼の背にぴたりとついた。
「蒼、今は戦おう。それが“答え”になるから」
「……ああ!」
二人の気持ちが高まり、**共鳴スキル《双響》**が再び発動。
鞭は鎖を帯び、紅蓮の刃が舞う。
仮面の男と蒼たちは、火花散る激突を繰り広げた。
敵の動きは明らかに“知っている型”だった。
蒼が異世界で学んだ暗殺術と同じ、かつて属した《焔隠一門》のもの。
(まさか、組織がこの世界に来ているのか……?)
攻防の中、鞭が敵の足を絡め、蒼が大きく跳躍――
その瞬間、鞭の材質が変化し、身体の右腕と太腿に巻きついてアーマー化した!
“アーマー形態”に進化した鞭が、刃を受け止める。
その防御力と同時に、脚力を倍増させていた。
「今だ、紅!」
「任せて!」
紅の双刃がクロスして、火花を放つ――
そのままブーメランのように敵を包囲し、爆発的な斬撃!
(今の私たち、強くなってる……あの夜の、想いが形になってる)
蒼は実感していた。
紅と交わした愛が、スキルの進化を加速させていたのだ。
敵は仮面を落とし、姿を消すように霧散していった。
その口元には、意味深な笑み。
「……“譲渡スキル”、次は“感情”すら移すか……楽しみだ」
蒼と紅は見つめ合い、肩で息をしながら微笑む。
「……紅、ありがとう」
「ふふ。蒼がいたから、怖くなかった」
次第に夜が明けていく。
だが、蒼の心には重い“影”が差していた。
烈火、焚火。
蒼に宿る“ふたつの魂”の記憶が、何かを訴えようとしている。
そしてその影を見ていた“姫”は、小さく唇を噛む。
「……私の知らない蒼が、たくさんいる」
少女たちの想いが交錯する中、物語はさらに激しく、そして熱く燃え上がっていく――。




