第49話「共鳴(リンク)の果て ―愛と力の進化
夜の帳が下りた頃、蒼と紅は再び任務先の宿に身を寄せていた。
先の戦闘で傷を負った蒼を看病するため、紅はひとときも離れようとはしなかった。
「……私がもっと早く駆けつけてれば……!」
「いや、紅のおかげで助かったよ。
……ありがとな」
包帯を巻く紅の手が、ふと止まる。
そのまま、蒼の胸元――鼓動のすぐ上に、そっと手を添える。
「ねえ、蒼」
「……ん?」
「この心臓の音、前より……私に近づいてる気がする」
そう囁かれた瞬間、蒼の脳裏に閃光のような感覚が走る。
《譲渡スキル:感情連結発動条件達成》
《対象:紅》
《スキル進化フェーズ2 開始》
空気が震える。
蒼と紅を中心に、淡い光が舞い踊るように流れ出す。
「蒼……これって……?」
「多分、“スキル”が――“俺たち”に反応してる。
気持ちが、繋がったから……」
蒼の言葉に、紅はそっと微笑む。
「だったら、もっと繋がってみる?」
その言葉と共に、紅は静かに距離を詰めた。
額と額が触れ合う。
唇が近づき、ためらいを越え――
──ふたりは、初めて“本当の意味”で触れ合った。
身体の熱が高まり、スキルの光はさらに脈打ち始める。
《譲渡スキル:共鳴進化――“双響”が生成されました》
《一時的な身体融合:力の共有、感覚の同期が可能》
紅が小さく呻く。「なに……これ……」
蒼も、息を呑んだ。「力が、溢れてくる……!」
2人の身体に宿る力が共鳴し、今までにない“強さ”と“絆”が生まれる。
蒼の肉体はさらに洗練され、紅の刃には紅蓮の気配が宿った。
そして、静かに重ねられた手と手の間に、もうひとつのスキルの種が芽吹く。
「蒼……来世でも、また一緒にいて」
「……俺は、お前がいないともうダメだ」
微笑む2人の間には、もう迷いはなかった。
愛と力、心と身体。
すべてが、ひとつになった。
――それが、“最強”の始まりだった。




