表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/145

第48話「ゆれる想い、交わる鼓動 ―譲渡スキル・共鳴―」



 


夜――任務の一環で訪れた屋敷の離れ。

予想外の雨に見舞われた彼女たちは、急きょ同室で一晩を明かすことになった。


 


「……にしても、狭いって……っ!」


紅は困惑した表情で、蒼が布団の端にギリギリ身体を寄せている様子を見て、ぷいとそっぽを向いた。


「そんなに距離取られると、逆に失礼じゃない?」


「ち、違う! ほら、その……紅、すごく柔らかいし……ぶつかったら、アレだし……」


蒼は顔を真っ赤にして、必死に言い訳をする。


その言葉に、紅もまた顔を赤らめて俯いた。


 


「……じゃあ、もう、触れてればいいでしょ」


 


ぽすん。


そう言うや否や、紅が静かに蒼の肩に頭を預ける。

ドクンと心臓の音が跳ねたのは、蒼だけではなかった。


 


(――ああ、やばい。俺……いや、“私は”。本当に……)


 


蒼は知らず知らず、紅の温度に慣れ始めていた。

ただの仲間ではなく、彼女の笑顔に安らぎ、言葉に救われ、今や胸の奥が疼くほどに――惹かれていた。


 


「蒼」


不意に、紅の声がそっと落ちる。


「私、知ってたよ。……あんたが、この世界の“普通”じゃないって」


蒼は目を見開いた。


 


「でもね。蒼が、蒼である限り……私は、あんたの味方だから」


 


その瞬間――


 


《譲渡スキルが反応しました》

《条件:感情の極限到達を確認》

《進化条件、達成値78%……感情リンク、継続中》


 


蒼の胸元がかすかに光を帯びた。

肌に直接触れる紅の指先からも、ほんのりと同じ輝きが伝わっていた。


「……なに? これ……?」


紅が不安そうに尋ねたが、蒼は自分の胸元を押さえて答えた。


 


「……譲渡スキル、かもしれない。

たぶん、俺たちの気持ちが、なんか――共鳴してる」


 


紅はそれを聞き、少しだけ照れくさそうに目を逸らした。


「……バカ。そんなの……こっちが先に“共鳴”してたんだからね」


 


そして。


そっと、紅が蒼の手を握った。


 


言葉は少なかった。

けれど確かに、あたたかさが指先から伝わる。


それは、心が触れ合う感覚だった。


 


外は雨。

でも、ふたりの間には、やわらかくて、やさしい空気が流れていた。


 


やがて、眠りに落ちていくふたりの間に――

静かに進化する“想いの力”が芽吹こうとしていた。


 



---




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ