第54話『“姫の涙”と“忍の誓い”』
護衛任務のため、蒼たちは他国の姫・リアナ=セレフィーヌ姫を迎えに向かっていた。
リアナ姫――その名は、幼き頃より“予知夢”の力を持つ姫巫女として知られ、
その身には神託の記憶が刻まれていた。
「初めまして。あなたが“蒼”様ですね」
深い青紫の瞳を持つ美少女が、微笑みながら手を差し出す。
「私の“夢”に何度も出てきました。“貴女”が、私を救うって」
「……夢?」
蒼は困惑しながらも、その手を取った。
彼女の肌に触れた瞬間――なぜか、蒼の胸元が「ぷるん」と揺れた。
「……っな、なんで!?」
「ちょ……いきなり触れちゃダメっ! その手は、わざと!? わざと!?」
後ろから飛び出した紅が、姫の手をバシッと払う。
「このお色気ボディは私のもんだああぁ!!(いろいろ意味で)」
「いや、ちょ……おまっ、紅っ!」
「……む、蒼……その反応は何? なんで赤くなってんのよ……」
「ちがっ……その、姫が……すごい目で見てくるから!!」
「……ふふっ、冗談ですわ。でも、素敵なお胸ですこと♡」
(ど、どこまで天然なのこの姫――!?)
蒼の肩がピクピクと痙攣する。
紅の目がギラつきはじめ、楓は「むふぅ♡」と鼻息を荒くしながら巨大なハンマーを研いでいる。
影(ZERO)は、なぜかカメラを構えていた。
「この姫、魔性じゃない……?」
「……危険度ランク、A+。紅の情緒が不安定化」
と、そんな騒ぎの中。
姫の瞳がふと翳り、空を見上げた。
「……来ます。私を“奪う者”が」
その瞬間、空気が震えた。
森の奥から現れたのは、黒い装束を纏った謎の集団――
「《神喰ノ影》だ……!」
蒼の頭に、稲妻のような記憶が走る。
(……あれは……烈火だった頃、最後に倒したはずの組織)
何故だ……なぜここに? なぜ、姫を狙う?
敵の刃が姫へと迫る――
蒼は、無意識に姫を抱き寄せ、そのまま後方宙返りで距離を取った。
(まるでパルクールのように…!)
「みんな、戦闘準備!!」
紅が双剣を抜き、影は音もなく消え、楓のハンマーが「グワァン!」と変形する!
蒼の鞭が、感情と共に**「鎖+鋼+光」の複合アーマーウィップ**へと変化。
(姫を守る。そして、あの謎の組織の正体を突き止める!)
戦場に立つ5人の少女たち。
だが、その中で蒼の胸にはひとつの感情が芽生えはじめていた。
――紅を、守りたい。
姫の笑顔を見ながら、蒼は密かに、紅の手をそっと握る。
「……私は“誰かを護る”ために、今ここにいる。それが、俺の選んだ“道”なんだ」




