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第6話「忍者寮、忍務開始!制服と訓練と羞恥心」


 


朝――


「はいっ、今日から寮での共同生活、がんばってくださいねっ!」


元気いっぱいの教官くノ一が笑顔で蒼たちに言い放つ。


その手には、標準忍務制服と呼ばれる――いや、もはやただの露出高めな戦闘衣装が。


 


「ちょっと待てッ……これは、どこが“標準”なんだ!?」


蒼は自分の姿を見て、思わず叫んだ。


 


――薄手の黒布が、要所をぎりぎり隠すくノ一スタイル。

スリット深め、背中は全開、胸元のホルダーは無駄にフィット感。


その上、脚にはガーターベルト状のポーチ。どうしてそこに手裏剣入れる必要が……?


 


「蒼、その……似合ってると思う……ふふっ♪」


楓がメガネ越しに優しく微笑む。

「ほら、これ、素材は最新ナノ繊維。斬撃も軽減するんだよ」


「いやっ!防御力とか以前に、揺れるのが問題なんだよ!歩くたびに自分で気になるんだよコレ!」


 


蒼の身体は、かがむたびに「物理法則」が反逆してくる。


立ち回れば揺れ、跳ねれば舞い、忍務どころではない。


 


一方――


紅はいつも通りの無表情で短剣をメンテナンスしている。


「……気になるなら、抑え込む訓練、付き合ってやるよ」


「いや抑え込むって、物理的に!? なんか誤解生まれるからやめろ!」


 


ZEROは相変わらず黒コート姿。


「……制服、着ていないのか?」


蒼が問うと、ZEROは一言だけ答えた。


「……下には、着てる」


「そういうのが一番気になるやつーーッ!!」


 



 


その日の午後――


蒼は初の“忍務”に就く。

任務は「隣町への薬草の護送」


だが、途中で**野盗化した魔獣獣人ビースト・ローグ**に襲撃を受ける。


 


「チッ、こんなときに限って武器がっ……!」


鞭を手にした蒼。


気合と共にその“感情の揺れ”に反応し――鞭は鋼鉄鎖のような光沢を持つ“鎖の鞭”へと変化。


 


「くらえぇぇええっ!! これが……揺れるけど強いボディの力だあああっ!!」


鞭がうなり、獣人たちを次々になぎ払っていく。


だがその勢いで――


ビターン!


「うぎゃっ!? また自分に巻き付いたっ!?!?」


 



 


任務終了後、寮に戻った蒼は、ぐったりと畳に倒れ込んだ。


その脇に、メガネ姿の楓が氷嚢とミルクティーを差し出す。


「蒼くん、お疲れさま……はい、これ。ちょっと熱もってたよ?」


「あ、ああ……ありがと……ていうか、俺って、こんな毎日になるの……?」


 


誰かがくすくすと笑う。


ZEROが、珍しく口元を緩めたようだった。


「……騒がしい方が、……生きてる感じがする」


 


蒼は、もう一度、遠くを見つめた。


この世界に来て、少しずつ――自分の“居場所”が形を持ち始めているのを、感じていた。


 




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