第47話「姫と、禁断の夜」
「これが……任務?」
目の前の豪華すぎる部屋を見渡して、蒼はぽかんと口を開けた。
任務内容は、リアナ姫の警護。そして護衛として同行する蒼たちには、なぜか“王族待遇”の個室が与えられていた。
「……豪華すぎない?」
「貴族の城だもん、当然よ」
紅が言いながらも、なぜか頬を染めてベッドの感触を確かめている。
(こっちもふっかふか……寝たら絶対沈むやつ……)
蒼も思わず飛び込んでしまう。
が――その瞬間、背後からバサッとカーテンが開き、
「おや、ここでしたのね。蒼様」
リアナ姫が、ナイトガウン姿で現れた。
「ひ、姫っ!? な、なんでその格好っ」
「ふふ。蒼様、よろしければ今夜、わたくしのお部屋で――」
「わ、私は護衛であって、夜伽の任ではっ!?」
「まあ……では、護衛として隣にいてくださる?」
(同じじゃんそれ!)
蒼はじわじわと顔を赤くしながらも、姫の迫力に押され、結局そのままリアナの部屋へ。
――だが、その夜。
蒼がリアナの部屋の窓から外を見張っていると――ふと、物陰の気配を感じた。
「……誰?」
影が一瞬、庭の木陰に走った――
それを察知したのは蒼だけではなかった。
姫の寝所に仕掛けられた結界が、かすかに反応を見せる。
(まさか、刺客……!?)
蒼はリアナを庇いながら、素早く身構えた。
鞭を握り、愛用の“装甲化モード”を展開――
だが、先手を取ったのは別の存在。
「ふふっ、あんたがこんなとこで何してるのよ」
――紅だった。
ベッドの上、蒼のすぐ後ろに、いつの間にか立っていた。
「気になって見に来たら……姫とイチャついてるじゃない!」
「いや、ちょ、違うから!」
「違わない! どーせまた“蒼ちゃんの優しさ”に惚れてるんでしょ、あの姫!」
紅は怒ったまま、蒼の胸をぐいっと押す――
「うわっ……ちょっ、紅っ」
バランスを崩した拍子に、ふたりの唇が――
「んっ――!」
(……また、これかよぉおお!!)
蒼の脳内では警報が鳴り響いたが、紅の目は真剣そのものだった。
「……好きよ、蒼」
「え……」
「他の誰かじゃなくて、今の“蒼”が好きなの」
紅の顔が近い。心音がうるさい。
……なにより、姫もそれを見てる!
「ふふふ……これは、面白くなってきましたわね」
リアナ姫は意味ありげに微笑んだ。
――こうして、姫と紅。
ふたりの間で揺れる蒼の“乙女(?)な夜”は、騒がしく、そして甘く過ぎていった――。
だがその裏で、城内には密かに動く影の組織があった。
蒼と烈火の“過去”を知る、何者かの暗躍が始まりつつあった――。




