第44話「“刻まれた者”と影の正体」
静けさを取り戻した“月影の都”。
だが、その夜――月が雲に隠れた瞬間、異質な気配が町を包んだ。
「来たか……」
屋根の上、黒装束に身を包んだZEROが、夜風に揺れる黒髪をなびかせ、低く呟いた。
街の大通りに現れたのは、仮面をつけた謎の一団。
彼らの背には、異世界の紋様にも似た“刻印”が、青白く浮かび上がっていた。
「“刻まれた者”たち……!」
楓が眼鏡越しに驚愕の声を漏らす。
「このエネルギー反応、明らかに“異世界由来”! しかも……蒼ちゃんの波長と酷似してる!」
「ということは……俺の過去と関係が……!」
蒼の脳裏に走馬灯のように甦る記憶。
異世界“焔の王国”で、剣を手に戦っていた少年――烈火。
そして、彼を取り巻いていた因縁の組織《業炎結社》。
「まさか……やつらも、転生してこの世界に?」
その瞬間――影のように一団の中から飛び出してきた黒い仮面の戦士が、一直線に蒼を狙う!
「来るぞ!!」
蒼が鞭を構えると同時に――
バッ!
ZEROが眼帯を外した。
「……仕方ない」
その右目――金色の“神眼”が開かれる。
「解放――“影繰り・真形態”」
黒いコートがほどけ、宙に舞う。
その下に現れたのは、ゴスロリ戦闘服に身を包んだ、均整の取れた美しき影の忍。
「……蒼、私が先にいく」
その瞬間――!
ZEROの背中から“影の触手”のようなものが伸び、敵の仮面を貫いた。
「ひとりは、片付けた」
「え、えぇええ!? いきなり!? …てか、その服!? おま、可愛いなオイ!?」
「可愛いは、否定しない。蒼も、見てた」
「見るわ!つい見ちゃうだろ!!」
紅が後ろから割り込んできて、怒号。
「蒼ーッ! あんた、ZEROまで落とす気じゃないわよね!?」
「ち、ちがうってばぁあああ!」
だが、ZEROは静かに蒼に寄り添う。
「……安心して。蒼を、護る。それが“私の刻まれた義”」
その言葉に、蒼の胸がざわついた。
(この感覚……前世でも……誰かが、こうして俺を――?)
「蒼ちゃん!」
楓の声が響く。
「敵、まだいる! そして……“月影の姫”が、狙われてる!」
「なにっ!?」
再び、蒼たちは動き出す。
今度は、個人の記憶だけでなく、“異世界の因果”が絡み合い、渦を巻く。
――かつて滅びた異世界から続く“因縁”が、今、現世をも巻き込む。




