第40話「彼方より来たる“仮面の追跡者”」
承知しました!
では、続けて 第40話「彼方より来たる“仮面の追跡者”」
――その日、森の空気は、なぜか異様に重たかった。
「蒼、さっきからソワソワしてない?」
任務帰り、森の小道を歩く蒼に紅が声をかけた。
「いや……なんとなく、気配が変なんだ」
その直後。
ザザ……
木々の間から、黒い影が滑るように現れた。
その姿は、漆黒の仮面をかぶった人影。
顔は見えないが、ただならぬ気配をまとっている。
「貴様……“蒼”か?」
「……誰だ、お前は」
仮面の男は何も答えず、右手を前に突き出した。
次の瞬間、空間がねじれるような違和感とともに、巨大な炎の槍が生み出された。
「“烈火”の気配……貴様、“彼”の魂を持っているな」
「!?」
――烈火。過去、異世界で死んだ“自分”の名前。
「なんで、その名前を……」
仮面の男は静かに言った。
「彼の“残骸”を求める存在がいる。お前の中に“鍵”がある」
その瞬間、紅が前に出て双剣で応戦する。
「蒼に手出しさせない!」
が、相手は明らかに異常だった。
瞬間移動のようなスピード。
仮面の奥に光る、金の眼。
その動きは、まるで“かつての烈火”に似ていた。
「これは……まさか、模倣能力!? 俺の動きが、全部読まれてる!?」
蒼は、戦いの中で己の“転生スキル”のひとつ《記録された者の影》が逆利用されていることに気づく。
(つまり……こいつ、俺の過去を知ってる……!)
仮面の男の刀が、蒼の喉元に迫る――
だが。
「――させないっ!!」
影が裂けるようにして、ZEROが飛び込む。
巨大な双刃を振りぬき、仮面の男を強引に後退させた。
「間に合った……あとは、好きにしていいよ」
ZEROが猫耳をピクリと動かす。
「ただし……蒼を泣かせたら、潰す」
その言葉に、仮面の男は一瞬動きを止め――そして、音もなく霧に溶けた。
静けさが戻る森。
だが、蒼の胸中には、新たな疑問と不安が渦巻いていた。
(“彼の残骸”……? 一体、何を狙ってる?)
そして、紅が静かに囁く。
「蒼……怖くなったら、私がそばにいるからね」
「……ありがとな、紅」
その手を握ると、蒼の中に微かに灯る炎が、またひとつ強くなった。




