第15話:「記憶と繋がる声 ―そして、神の目覚め
静寂。
廃寺に差し込む月光だけが、世界を照らしていた。
薔薇の鞭によって崩壊しかけた封印陣の中心で、蒼は膝をついていた。
「……また、見えた……あの光景」
仲間を守って死んだ、異世界の青年――烈火。
断片的に蘇る、別の人生の記憶。
(あれは……夢じゃない。私の……もう一つの“生”)
そのとき、頭の奥から響いた。
《目覚めよ、“蒼”。
お前は“幾度”も巡った魂。》
「……誰?」
静かに問いかけると、心の深層に声が届いた。
《お前は、“運ばれし器”。
幾千の魂を宿し、形を変え、名を変え、想いを繋いできた者。》
「……烈火も……私だった?」
《そう。お前は、命を燃やし、また生まれた。
今は“女”として、“忍”として、再びこの世界に降り立った》
蒼の手が震える。
「じゃあ……“転生”って……」
《“お前”は、神に近づいている》
その瞬間、蒼の背に熱が走る。
肩甲骨のあたりから、うっすらと模様が浮かび上がった。
――紋章。
それは“神の契印”。
「蒼っ!? 大丈夫!?」
紅が駆け寄る。
楓とZEROも後ろから支えるように立つ。
「なんか……妙な光に包まれてたけど」
「うん……でも、大丈夫……たぶんね」
蒼はふと、自分の手を見つめた。
その手には確かな“感触”があった。
(この体も、命も、もう“借り物”じゃない)
“私”は、確かにここにいる。
◆ ◆ ◆
翌朝――工房へ戻った4人は、それぞれに疲労を癒していた。
だが、蒼だけは眠れずにいた。
(あの声……)
(私の転生の記憶。そして――神?)
そのとき、ふと机の上に置かれた“師匠”の書き置きが目に入る。
> 『蒼よ。
お前が“鍵”に近づく時、私は姿を消す。
だが、“その先”でまた会おう。
師より。』
「……え?」
(“その先”って……)
師匠は、すでに工房を去っていた。
まるで、すべてを知っていたかのように――。
◆ ◆ ◆
その夜。
蒼は夢を見る。
金色の瞳の“誰か”が言った。
《蒼――お前は“世界を繋ぐ鍵”。
だが、選べ。
“神”となるか、“人”として生きるか》
(……選ぶ?)
その問いが、蒼の胸に深く刻まれた。
“女の子になったことに戸惑いながら”
“仲間たちと笑い合いながら”
“命の秘密を抱えながら”――
蒼の物語は、さらに深く、熱く、そしてエッチに(?)続いていく!