表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
107/145

番外編:影と、光のあいだで ―蒼とZERO、ふとした事故が運命を変える―




---


番外編:影と、光のあいだで


―蒼とZERO、ふとした事故が運命を変える―


 


任務帰りの道すがら。

石畳に足を取られた蒼が、不意につまずいた。


「っ、あぶっ……!」


 


反射的に手を伸ばした先にいたのは、ZEROだった。

いつものように無言で、猫耳フードの奥から見据える鋭い瞳。

だが、次の瞬間――


 


「――っ⁉」


 


ふたりの唇が、触れてしまった。


 


時間が止まった。

風が吹き抜け、木々がざわめく。

どちらの唇も、まるで熱を持ったように微かに震えていた。


 


蒼「い、いまのは……し、事故……っ!」


ZERO「………………。」(棒読み)


 


だがその瞬間、ZEROの身体に異変が起きた。


影のように無機質だった彼女の瞳が、わずかに揺れた。

右目の眼帯の奥――黄金のオッドアイが、ひときわ強く輝く。


 


《――スキル共鳴発生。譲渡スキル発動:人格認識進化――》

《影の存在、"ZERO" に人間的感情データの上書きを開始》


 


蒼「な、なにか光ってる……!?」


ZERO「……………心臓、が、ドクンとした……。これが、“鼓動”?」


 


影の存在であり、心を閉ざしていたZEROの中に、「人としての意識」が芽吹いた。

初めての戸惑い。初めての恥じらい。

その感情は、彼女の中で温かく、そして怖いほどリアルだった。


 


ZERO(……蒼の唇。柔らかかった。温かくて……甘い匂いがした……)


 


今まで感情を抑制していた彼女が、初めて「照れる」という仕草を見せる。


 


蒼「あ、あーっ……あれだよ!事故!ほんとに事故だったんだってば!///」


ZERO「…………責任、とって?」


蒼「な、なんでそうなるの!? あたしは悪くないっ!」


 


ZEROのほほに、かすかな赤みがさす。


その時、彼女のステータスに変化が――


 



---


【スキル進化】


名前:ZERO(影ノ者)→ 「ヒトナリ・ZERO」


特性:「擬似人格」→「完全人格」


譲渡スキル:相手との接触によって“人らしさ”を獲得・拡張


新スキル:【心の声を持つ】【羞恥心発現】【感情増幅による戦闘強化】



 


今まで「影」として生きていたZEROが、ようやく“誰か”になろうとしていた。


彼女は、口元に手をあててぽつりと言う。


 


ZERO「……蒼。もう一度、触れていい?」


蒼「ちょ、ちょっと待って!それは、その……こっちの心の準備がっ!」


 


――こうして、またひとつ、運命が動き出す。


 







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ