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Sランクアイドルと作る絶品ダンジョン飯!~社畜Fランク探索者の俺が、料理スキルで成り上がるのはどう考えてもおかしい件~  作者: 咲月ねむと


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39話 海中神殿へ

レトルト第二弾の開発とまさかのグッズ展開が進む中、俺たちの冒険心――主にレイナさんと一条シェフの食への探求心、そして炎華の素材への渇望は、次なるダンジョンに向かっていた。


「ねえ、皆さん! 今度は、海に行きませんか? 海!」


レイナさんがキラキラした目で提案する。


「海……ですか?」


「はい! 深海にあるっていう、【海中神殿ネプトゥーヌス】っていうダンジョンがあるらしいんです! そこには、伝説の巨大イカ『クラーケン』がいて、その足が絶品なんだとか! あと、『人魚の涙』っていう、すっごく綺麗な宝石も手に入るらしいですよ!」


海中神殿ネプトゥーヌス。

その名前からして、かなりの高ランクダンジョンであることが予想される。資料によるとAランクに分類されることもある、最難関クラスのダンジョンの一つだ。


「クラーケン……。巨大な頭足類か。その身の弾力と旨味、そして調理法……。非常に興味深いテーマだ」


一条シェフが、またしても研究者のような目で呟く。


「人魚の涙……。魔力を秘めた海の宝石か。武具の装飾に使えば、水の力を付与できるかもしれないな……。よし、行くぞ!」


炎華自身も鍛冶師としての興味をそそられたようだ。


「ええっ!? Aランクダンジョンですよ!? しかも海中って……どうやって行くんですか!?」


俺だけがその無謀な計画に異議を唱える。

水中での探索なんて考えただけで息が詰まりそうだ。


「大丈夫ですよ! 私、水中活動用の魔法の装備、持ってますから!」


「私も、最新の潜水ギアをオーダーメイドで」


……レイナさんと一条シェフはの二人は、装備も規格外らしい。


「だったら俺たちは!」


俺がもっともな疑問を口にした。


「それなら、心配いらないぜ!」


そう言って炎華は、ニヤリと笑うと背中のリュックから、何やらメタリックな球体のようなものを取り出した。


「この前の氷晶鋼と、火山で手に入れた素材を使って、即席で作ってみたんだ! 『水中呼吸&耐圧ヘルメット(試作品)』! これがあれば、素人でもしばらくは海中活動ができるはずだ!」


なんと炎華は、俺たちのために水中用装備を開発してくれていたのだ。

さすが、天才鍛冶師である。


「ありがとう!」


「ふん、礼なんていいって! その代わり、クラーケンの足、たんまり食わせろよな!」


こうして俺と炎華の水中装備問題も解決した。


そして俺たちは、Aランクダンジョン・海中神殿ネプトゥーヌスへと挑むことになったのだ。



数日後、特殊な船でダンジョンの入り口――海上の巨大な渦潮までやってきた俺たちは、それぞれの装備を身に着け、深海へと潜っていく。炎華特製のヘルメットは、思った以上に快適で、水中でも普通に呼吸ができるし、水圧も感じない。


眼下に広がるのは、息をのむほど美しい、青の世界だった。色とりどりの珊瑚礁、幻想的に光る深海魚の群れ、そして、海底に荘厳に佇む、古代の神殿……。


「すごく綺麗だ……!」


思わず、感嘆の声が漏れる。しかし、美しい景色とは裏腹に、危険も潜んでいる。突如として発生する強い海流や、巨大な牙を持つ深海魚「シーサーペント」、暗闇から襲い来る「デプス・アンコウ」など、強力なモンスターが次々と俺たちを襲う。


水中での戦闘は、陸上とは勝手が違い、動きも制限される。しかし、レイナさんは水中でも自由自在に泳ぎ回り、一条シェフは水の流れを巧みに利用して戦う。

炎華は、ヘルメットのおかげで水中でも火魔法を放ち、敵を牽制する。


俺は……必死にみんなについていくだけだ。

でも、炎華のおかげで、ただ浮いているだけでも少しは役に立っている……気がする。


そして、ついに俺たちは、神殿の最深部、巨大なドーム状の空間にたどり着いた。その中央には、無数の触手を持つ山のように巨大な影が。


「……あれが、クラーケン……!」


伝説の深海モンスター。

その威容は、これまでのどんなモンスターよりも巨大で恐ろしい。Aランクダンジョンのボスにふさわしい、圧倒的な存在感だった。


「グルルル……」


クラーケンが、無数の触手をうねらせ、ゆっくりとこちらに敵意を向けてくる。水中での激しい戦いの火蓋が、今、切られようとしていた。


今こそ俺たち四人の連携が、試される時だ。


いや、実質三人かもしれない。

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