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Sランクアイドルと作る絶品ダンジョン飯!~社畜Fランク探索者の俺が、料理スキルで成り上がるのはどう考えてもおかしい件~  作者: 咲月ねむと


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27話 第二弾開発会議

俺と一条シェフの間に友情が芽生えた、と俺はそう思っている。

しかしこれが、レトルト食品開発にさらなる影響を与えた。


グルメフロンティアとの第二弾開発会議に、なんと一条シェフも「特別アドバイザー」として参加することになったのだ。


もちろん言い出しっぺはレイナさんである。


「まさか、一条シェフにまでご協力いただけるとは、光栄です!」


グルメフロンティアの担当者たちは、三ツ星シェフの参加には大興奮だ。

俺と一条シェフ、そしてレイナさんを交えた開発会議は、以前とは違う熱気を帯びていた。


第二弾のラインナップとして、「ホブゴブリン肉の唐揚げ(香味ソース付き)」「巨大キノコのアヒージョ風」「サンドワームのボロネーゼ風パスタソース」などが候補に挙がる。


「一条シェフ、唐揚げの衣は、もっとクリスピーにするべきでは。米粉を少量混ぜるのがいいアクセントになるはず」


「アヒージョのオイルは、ニンニクとハーブの香りを最大限に引き出すため、低温からじっくり加熱する必要があるな」


「ボロネーゼソースは、サンドワーム肉の旨味を活かしつつ、トマトの酸味とのバランスが重要ですね。隠し味に……そうだな、チョコレートを少量加えてみてはどうですか?」


俺と一条シェフは、それぞれの知識と経験に基づき、活発に意見を交換する。

以前のようないがみ合いはなく、互いの意見を尊重しつつ、より良い商品を作るための建設的な議論が展開される。その様子を、レイナさんが楽しそうに見守っている。


「しかし、既存の食材だけでは、インパクトに欠けるかもしれませんね」


グルメフロンティアの担当者が、新たな課題を提示する。


「何か、第二弾の目玉となるような、新しいダンジョン食材を使った商品は作れないでしょうか?」


「新しい食材、ですか……」


レイナさんが、うーん、と考え込む。


「それなら、いくつか候補があるぞ」


一条シェフが、タブレットを取り出し、いくつかのダンジョン食材の情報を表示した。


例えば、【灼熱火山の洞窟】に生息する『サラマンダー』。その肉は、燃えるような辛さと凝縮された旨味を持つという。


あるいは【極寒の雪山】に住む『イエティ』。彼らが飲むという『イエティミルク』は、非常に濃厚で栄養価が高く、究極の乳製品が作れるかもしれない。


「サラマンダーの肉……! イエティミルク……!」


レイナさんの目が、キラキラと輝きだした。

未知の食材への好奇心が、再び燃え上がったようだ。


「行きましょう! 佐藤さん、一条シェフ! 次はそのダンジョンへ、食材調達です!」


「「えっ!?」」


俺と一条シェフの声がハモる。

まさか、食材の候補を挙げただけで、次の探索行きが決定するとは思っていなかった。


「サラマンダーの激辛料理……イエティミルクの濃厚シチュー……想像するだけで、よだれが……」


(また、このパターンか……)


俺は、ため息をしつつも、火山や雪山といった新たなダンジョンと、未知の食材への挑戦に少しだけ胸が躍るのを感じていた。


隣の一条シェフも、まんざらでもない表情をしている。どうやら彼も俺たちとのダンジョン探索という名の食材探求に、魅力を感じ始めているようだ。


そして、俺の日常にも、少しずつ変化が訪れた。レトルト食品のロイヤリティの一部が振り込まれ、通帳の残高が、見たことのない桁数になっていたのだ。


(これで……もう少し広い部屋に引っ越せるかもしれない。あと、ずっと欲しかった、あの高級フライパンも……)


ささやかながらも、確かな変化。


ダンジョンと料理、そして奇妙な仲間たちとの出会いが、俺の人生を少しずつ変化させていたのだ。

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