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Sランクアイドルと作る絶品ダンジョン飯!~社畜Fランク探索者の俺が、料理スキルで成り上がるのはどう考えてもおかしい件~  作者: 咲月ねむと


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23話 天才シェフ、現る

レトルト食品の大ヒットは、思わぬところにまで影響を及ぼしていた。


それは、高級レストラン業界である。


「料理人S……か。面白い」


都内一等地に店を構える、三ツ星フレンチレストラン『|Lecrin de Reveレクラン・ド・レーヴ』。その厨房で、若き天才シェフ・一条 蓮(いちじょうれん)は、タブレットで「ダンジョンまんぷく飯」の情報を追いながら、不敵な笑みを浮かべていた。


一条蓮は、20代にして三ツ星を獲得し、その端正な容姿も相まって、メディアからも注目されるカリスマシェフだ。伝統的なフレンチの技法を重んじつつも、常に新しい食材や調理法を探求する、野心的な料理人でもある。

そんな彼が最近、注目しているのが、ダンジョンから産出される未知の食材だった。


「オーク肉、サンドワーム、レイク・キング……。どれも、従来の料理界では見向きもされなかったゲテモノばかり。それを、これほどのレベルの料理に昇華させるとは……。一体、何者なんだ、この料理人Sとやらは」


一条は、SNSにアップされている料理の写真やレトルト食品のレビューを入念に分析していた。その料理には、確かに粗削りな部分もある。しかし、素材の味を最大限に引き出す発想力と型にはまらない大胆な調理法には、無視できない才能を感じていた。


「……会ってみたいものだ。そして、どちらの料理が本物か、確かめてみたい」


プライドの高い一条は、謎の料理人Sに対して、強い対抗心を燃やし始めていた。そして、料理人Sに繋がる唯一の手がかりが、国民的アイドル・星野玲奈であることも突き止めていた。


数日後、一条は、とあるパーティー会場で、星野玲奈に接触を図った。


「はじめまして、星野玲奈さん。一条蓮と申します」


「あら、一条シェフ。いつもテレビで拝見しています」


レイナは、突然現れたイケメンシェフに驚きつつも、にこやかに応対する。


「単刀直入にお伺いします。あなたが懇意にされているという『料理人S』を紹介していただけませんか?」


「……! 料理人S、ですか?」


レイナは、一瞬目を見開いたが、すぐに面白そうな表情を浮かべた。


「ふふ、一条シェフも、Sさんの料理に興味があるんですね? でも、Sさんは、あまり人前に出たがらない方なので……」


「そこをなんとかお願いしたい。彼か彼女かは存じませんが、あの方の料理には、学ぶべき点が多くあると感じています。ぜひ、一度お話を伺いたい」


一条は、真摯な態度で頭を下げる。

その熱意に、レイナは悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「うーん、しょうがないですねぇ。じゃあ、今度、私とSさんが一緒にダンジョンに行く時に、一条シェフもお誘いしましょうか? Sさんの料理、生で見られるチャンスですよ?」


「本当ですか!? ぜひお願いします!」


一条は、レイナの提案に食いついた。まさか、ダンジョンに同行できるとは思っていなかったが、料理人Sに会えるなら、どこへでも行く覚悟だった。


こうして、一条蓮は、レイナの計らいにより、健太とレイナの次回のダンジョン探索に同行することになった。


♢♢♢


一方、俺はレイナさんから「今度、一条シェフっていう有名な料理人さんが、一緒についてきたいって言ってるんですけど、いいですか?」という連絡を受け、頭を抱えていた。


(い、一条蓮!? あの超有名なイケメン天才シェフ!? なんでそんな人が俺に!? しかもダンジョンに!?)


一条蓮のことをテレビや雑誌では知っていた。

雲の上の存在だと思っていた人物が、なぜか自分に興味を持ち、しかもダンジョンまでついてくる……。その状況が、全く理解できなかった。


(絶対、俺のこと馬鹿にしに来るんだ……! あの人、プライド高そうだし……!)


イケメンで、才能もあって、金持ちであろう一条シェフ。


俺は強烈な劣等感と警戒心を抱いた。

波乱の予感しかしないのは、もう目に見えている。

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