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Sランクアイドルと作る絶品ダンジョン飯!~社畜Fランク探索者の俺が、料理スキルで成り上がるのはどう考えてもおかしい件~  作者: 咲月ねむと


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22/51

22話 大ヒット御礼!

「料理人S監修 ダンジョンまんぷく飯レトルトシリーズ」は、発売されるや否や、爆発的なヒットとなった。


レイナさんが出演を務めるテレビCMやSNSでの話題性、そして何より「あの料理人Sの味が家庭で味わえる!」という期待感から、初回出荷分は瞬く間に完売。

スーパーやコンビニの棚からは商品が消え、ネット通販サイトではプレミア価格がつくほどの人気ぶりとなった。


『オーク肉煮込み、レトルトとは思えないクオリティ!』


『サンドワームソーセージ風、ビールが無限に進む!』


『ムニエル風、ご飯にもパンにも合う!』


『料理人Sマジ神!』


SNSには、購入者からの絶賛の声が溢れかえっていた。


俺のあずかり知らぬところで、「料理人S」ブランドは、ますます巨大なものになっていく。その影響は、当然ながら俺の職場にも及んでいた。

昼休み、社員食堂で昼食をとっていると、田中が興奮気味に話しかけてきた。手には、例のレトルト「オーク肉の赤ワイン煮込み」を持っている。


「おい佐藤! これ、食ったか!? めちゃくちゃ美味いぞ! 正直、そこらのレストランより美味いかもしれん!」


「あ、ああ……そうらしいな」


「『そうらしいな』じゃねーよ! とぼけんな! この味……間違いなくお前だろ! Sはお前なんだろ! 白状しろ!」


田中は、俺の肩を掴んでガクガクと揺さぶってくる。

その目は、もはや疑いではなく、確信に満ちている。周囲の同僚たちも興味津々な顔でこちらを見ているではないか。


「ち、違うって! 俺じゃない! 人違いだ!」


俺は必死に否定するが、もはや誰も信じてくれない雰囲気だった。

冷や汗が止まらない。まずい、本格的に逃げ場がなくなってきた……。


その日の夕方、俺がアパートに帰ると、玄関の前に巨大な段ボール箱がいくつも置かれていた。差出人は……星野玲奈。嫌な予感がしつつ箱を開けると、中には案の定、大量の「ダンジョンまんぷく飯レトルトシリーズ」がぎっしりと詰まっていた。

全種類、それぞれ数十個ずつはありそうだ。


『佐藤さんへ♡ レトルト大ヒット、本当におめでとうございます! 佐藤さんのおかげです! これは、ほんのお礼の気持ちです! これからも、美味しいダンジョン飯、期待してますね! P.S. 第二弾、第三弾の開発もグルメフロンティアさんが乗り気みたいですよ!  レイナ』


メッセージカードが添えられていた。


(……いや、お礼の量が半端ないんですけど!? これ、一人暮らしのアパートに保管するスペースないぞ!?)


まあ、しかし……。


(これで、しばらく食費は浮くな……)


大量のレトルト食品を前に、思わず頬が緩む俺。

社畜にとって、食費の節約は死活問題なのだ。複雑な気持ちを抱えつつも、俺はしばらくの間、三食レトルト生活を送ることになるのだった。そして、第二弾、第三弾の開発依頼という、新たな仕事が増えることも確定したようだ……。

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