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Sランクアイドルと作る絶品ダンジョン飯!~社畜Fランク探索者の俺が、料理スキルで成り上がるのはどう考えてもおかしい件~  作者: 咲月ねむと


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21話 天空の絶品アレンジ飯!

命からがら、目的地の見晴らしの良い広場に到着した。

そこは、空中庭園の中でも特に景色が良く、色とりどりの花畑が広がる、絶好のロケーションだった。眼下には雲海が広がり、遠くには他の浮遊島も見える。

高所恐怖症でなければ、感動を覚える最高の場所だろう。


「さあ、ここからはお待ちかね! レイナさんによる、ダンジョン飯レトルトのアレンジクッキングターイム!」


グルメフロンティアのスタッフが、SNSライブ配信用のカメラに向かって、高らかに宣言した。コメント欄は、すでに期待の声で溢れているらしい。


俺は、裏方として調理台や器具のセッティング、そしてアレンジに必要な追加食材――野菜やパン、チーズなど。もちろん俺が事前に準備したものだ。


主役はレイナさんだが、実質的な調理の大部分は俺が下準備済みだ。


「まずは、『オーク肉の赤ワイン煮込み』を使った、『天空のポットパイ』を作りまーす!」


レイナさんが、元気よく調理を開始する。

温めたレトルトの赤ワイン煮込みを耐熱容器に入れ、上からパイシートを被せて、携帯用のオーブンで焼き上げる。


その間にもう一品。


「『レイク・キングのムニエル風』を使った、『雲海オープンサンド』です!」


こちらは、軽くトーストしたパンの上に、レトルトのムニエル風を乗せ、彩り豊かな野菜とチーズをトッピングするだけ。簡単だが、見栄えは抜群だ。


レイナさんは、手際よく調理を進めていく。


時折、カメラに向かって笑顔で手を振ったり、試食と称してつまみ食いしたりと、アイドルらしいパフォーマンスも忘れない。


コメント欄は、


「レイナ可愛い!」

「美味しそう!」

「飯テロ!」


といった言葉で埋め尽くされている。


そして、ついに料理が完成した。

こんがりと焼きあがったポットパイと、彩り鮮やかなオープンサンド。

レトルト食品がベースとは思えないほど、豪華でお洒落な料理だ。


「わー! できましたー! 美味しそー!」


レイナさんが、完成した料理をカメラに見せびらかす。スタッフからも「おおー!」と歓声が上がる。


「じゃあ、早速いただきまーす!」


まずは、ポットパイのパイ生地をスプーンで崩し、中の赤ワイン煮込みと一緒に頬張る。


「んん~~~っ!! サックサクのパイと、とろっとろのオーク肉煮込みが、最高のマリアージュです! レトルトなのに、お店で出てくるレベルの美味しさ……! これ、本当にすごいです!」


次に、オープンサンドにかぶりつく。


「こっちも、ふわふわの白身魚と、シャキシャキ野菜、とろーりチーズが絶妙! パンとの相性も抜群です! こんなに簡単に、こんなお洒落で美味しいものが食べられるなんて……! グルメフロンティアさん、天才ですか!?」


(いや、アレンジ考えたの、ほぼ俺なんだけどな……)


心の中でツッコミを入れつつも、レイナさんの完璧な食レポとコメント欄の盛り上がりを見て、イベントは成功だと確信する。


その後、レイナさんはスタッフにも料理を振る舞い、みんなで空中庭園の絶景を眺めながら、美味しい料理を楽しんだ。


俺はというと、後片付けや荷物整理に追われ、ゆっくり景色を眺める余裕もなかった。高所での活動と、慣れない裏方作業で、疲労はピークに達している。


(……あの、エナジードリンク……ちょっとだけ、飲んでみようかな……)


ポケットに入れたままだった、ゴーレムコア・エナジードリンク(試作品)の小瓶を、思わず取り出しかける俺。しかし、飲んだ後のレイナさんの異様なテンションを思い出し、そっとポケットに戻すのだった。


やっぱり、あれはヤバい。普通の栄養ドリンクで我慢しよう……。


イベントは大成功のうちに幕を閉じ、俺たちは再び飛行艇で地上へと戻った。

疲労困憊の俺とは対照的に、レイナさんは最後まで元気いっぱいだった。彼女の体力はダンジョン級なのかもしれない。

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