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少女は、空を堕ちていく。
得も言われぬ浮遊感と、内臓が持ち上がり全身の液体が逆流していく感覚がある。頭から血が失われ、視界が真っ白に染まっていく。
走馬灯には、誰の影もない。
ただ、挫折と後悔に苛まれた過去。理想を掲げ、この世界にとって正しいことを選んできたつもりだった。誰に嫌われようともそれが必要なことだと信じてきた。
すべてが無意味であることを知ったのは、自分が生きている場所は世界のほんの一部でしかなく、それでも世界は回っていると気がついたとき。
彼女は、自分が必死で守ろうとした秩序など、チリにも等しい些事なのだと思い知った。世界は正しさなど求めていないという現実が、あまりにも無力な彼女の心を殺したのだ。
頭の上に、地面がある。
彼女は、今まで生きてきた無意味な人生よりも、この遊泳時間の方がよっぽど長く感じられた。あらゆることを思い、ワガママを押し通す欲望を覚え、初めて人間らしさを手に入れたような気がした。
幸せになりたい。そう願って、強く目を閉じる。
彼女の涙は、空へ昇っていった。
今日中に全部投稿します。