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第51話 変化

退勤時刻になると

ブレッドが迎えにきた。


リサに手料理を作ってもらう

約束のために。




さぁ 着いたよ

ようこそ我が家へ



広々とした駐車場に停車したブレッドが

助手席を開けながら

リサに手を差し出す。


二人並んで玄関ドアを開けると

年配の女性が出迎えた。




おかえりなさいませ




ただいま ルーシー


紹介するね

こちらは リサ フランル 

僕の大切な人だ




まぁ 

おきれいなお嬢様


はじめまして

私 ワグナー家にお使いしております

ルーシー マイヤー

と申します




はじめまして

リサ フランルです




今夜はリサの手料理を

楽しもうと思ってる


連絡してあるよね?




はい

伺っております


デザートだけは

ご用意させていただきました




ありがとうございます


正直 この時間からのお料理だと

デザートまでまわらないかと

思っていました


とても助かります





キッチンに案内してもらうと

リサはエプロンを借りて

早速 調理にとりかかる。




僕は失礼して

着替えてくるね


すぐに戻るから




ええ わかったわ

ごゆっくり




ブレッドが自室に向かい


冷蔵庫から材料を取り出そうというとき

ルーシーがキッチンにやってきた




何かお手伝いできることはありますか?




ありがとうございます


でもなんとかやってみます


そもそも手の込んだものは作れないので


 


そう言って

リサが苦笑いをする




いいえ


坊っちゃんは

リサさんのお作りになるものなら

それだけで嬉しいのでしょう




そうでしょうか




ええ


ご両親がお亡くなりになって

少しの間

坊っちゃんは別人のようでした


いろいろな関係を口実に

援助や相続話があとをたたず

いつの間にか

笑顔が消えてしまいました


会社役員のご令嬢との

婚約話が持ち上がったり

坊っちゃんの気持ちは置き去りでした


取り巻く状況に

辟易していたのです




手を動かしながら聞き始めたものの


いつの間にかリサは

ルーシーの話に聞き入っていた。




どうにかして

坊っちゃんの笑顔を取り戻せないかと

それはそれは

心配しておりましたが


ある日

とてもご機嫌でお帰りになったのです



何かよいことがあったのですか?


と聞いてみると



「心をあたためてくれる人に出会った

 奇跡のように」



とおっしゃられたのです


それは

リサさんのことでした


リサさんが訪ねてきてくれたことで

坊っちゃんは救われたのです




そんな大層なことではありません

私はブレッドが心配で

後先考えずに

来てしまっただけです




いいえ

それくらい坊っちゃんを想ってのこと


そのことが

坊っちゃんの心に響いたのでしょう




そう言っていただくと

なんだかくすぐったいです




今後も

坊っちゃんの傍にいてあげてください


リサさんのぬくもりを感じられるだけで

坊っちゃんは

笑顔でいられるのです




はい

ブレッドの傍が

私の居場所だと思っています




そうおっしゃっていただけて

安心いたしました




瞳を潤ませたルーシーが

ふと視線をはずし

キッチンに近づくブレッドに気が付いた。




僕も何か手伝うよ




坊っちゃんはお邪魔ですから

あちらでお待ちください




ルーシーが

涙をかくすように

明るい声色で言った。




ルーシー

坊っちゃんはないだろう

せめて名前で呼んでよ




リサさんには

ありのままで大丈夫ですよ


ねぇ




ルーシーに笑顔を向けられて




ええ


ブレッドはあちらで待ってて




リサは

ブレッドに言いながら


時短メニューを考えていた。

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