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第50話 うたた寝

リサの部屋でブレッドと一緒のところを

レストランのスタッフに目撃されて数日後


打ち合わせの合間のコーヒーブレイクのときに




リサさんて

社長と恋人同士なんですか?



ホールスタッフで年若いメグが

瞳をキラキラさせてリサに訊いた。



一斉にリサに視線が集まる。




あら

えっと~


なんていうか

そのぅ…




ただの仕事だけの関係ではないですよね?




えぇ まぁ




わぁ~

じゃ やっぱり?




え~っと

あはは



リサは頬を染めながら

資料でパタパタ顔を扇ぐ。




ん…っと


いずれわかることだけど

今はまだ ここだけの話にしてほしいの


お願いします




オッケー

わかりました


でも

うらやましいなぁ


社長って秘かなファンが多いんですよ


公になったら

ホテルのあちこちで

女性スタッフのため息が聞こえるでしょうね




やだ メグったら



スタッフの穏やかな笑いがこぼれて

温かな雰囲気に包まれた。




ほぼ毎日

ランチタイムには

リサの部屋を訪ねるブレッドだったが

会食などで不在のときもあった。



レストランスタッフに

二人の仲を認めたその日

ブレッドは外出していた。



ホテルで勤め始めてから

食事のときはほとんど

ブレッドと一緒だったせいか

一人の食事が味気なくて

飲み物だけにしてしまっている。


カップにコーヒーを入れると

部屋のソファに深く座って

軽く瞼を閉じた。


真面目なリサは

毎日レストランの打ち合わせに没頭し

時には仕事を持ち帰ったりしていた。


新しい職場での緊張感や

任された仕事への責任感から

睡眠不足気味だったこともあり

吸い込まれるように眠ってしまった。




しばらくして

レストランスタッフがリサの部屋をノックする。


応答がないので

スタッフがそっとドアを開くと


ソファに座って眠るリサと

愛しそうに見つめながら

その隣に座るブレッドがいた。


スタッフと目が合うと

ブレッドが口に指を立て

微笑みながら首を横に振った。


状況を把握したスタッフが

ドアを閉めていなくなると

リサの長い睫毛が

ゆっくりと弧を描く。


ぼんやりとした視界に

優しい笑顔のブレッドが映り

リサは何度も瞬きをした。




ブレッド?


わ…たし

寝ちゃったのね



子供のように目を擦りながら

背中を起こしてリサが言った。



腕時計を見て




いけない

こんな時間だわ



慌てたリサが立ち上がる。




大丈夫だよ


君がここでサボっていることは

レストランスタッフは知ってるから



いたずらっ子のような顔で

ブレッドがウィンクをした。




まぁ!


ここに呼びに来てくれたの?

起こしてくれたらよかったのに



リサは口を尖らせてブレッドを睨んだ。




よく寝てたし

寝顔がかわいくて起こしたくなかったんだ



ブレッドも立ち上がり

リサの髪をなでた。




もしかして

ランチを一緒に…って

来てくれたの?




いや

ランチは外で済ませちゃったんだ


リサが食べたか気になってね




ありがと

心配してくれて



ブレッドの手のひらが

リサの頬を包む。




リサの手料理をリクエストしてもいい?




えぇ もちろん


今夜?




いい?




大丈夫よ




今度は僕の家においで


食材はそこそこ揃っているはずだから




わかったわ

じゃ 伺います



さて

そろそろ行かないと


社長の贔屓があからさまだと

いじめられちゃうわ




誰かに何かされたの?




嫌ねぇ 冗談よ

そんな顔しないで

みんなとてもいい人ばかりで

楽しくやってるわ




それならいいけど


無理しないで

何かあったらすぐに言うんだよ



リサは微笑むと

ブレッドの腰に腕をまわした。




優しいのね



リサはブレッドの頬に

チュッとキスをした。




やっぱり

僕がリサを贔屓してるのは本当だな



ブレッドがリサの唇に口づけた。

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