第5話 再会
玄関ドアを抜けると
3階あたりまでは吹き抜けになっていて
空間の広さに圧倒される。
緊張しながら受付で名前を名乗り
面会を申し出た。
内線で連絡をとった受付嬢は
笑顔でリサに告げる。
あちらのエレベーターで
15階に上がってください
言われた通りに
15階でエレベーターを降りると
秘書らしき女性が待っており
ご案内いたします
と 言って先立って歩き始め
廊下の突き当たりの部屋で足を止めた。
社長室でございます
軽く頷くと
秘書がドアをノックして押し開き
リサを中へと招き入れる。
部屋の主は
大きなデスクに向かって座り
書類に視線を落としていた。
どうぞ お掛けください
ただいま お飲み物をお持ちいたします
秘書に促されて
オフィスには豪華すぎる
ソファの傍まで来ると
後ろで ドアの閉まる音がした。
と同時に
書類を見ていた部屋の主が
リサに視線を移した。
ようこそ
僕が ブレッド ワグナーです
さぁ
掛けてください
はい
失礼します
リサはふかふかのソファに
腰を降ろした。
ブレッドが
デスクからソファに向かって歩いてくる。
ドアがノックされ
秘書が飲み物を運んできた。
どうぞ
恐れ入ります
それでは失礼いたします
そう言って秘書が部屋を出ていくのを
リサが目で追う。
視線を感じて目をやると
ブレッドが見つめていた。
リサ フランルさん?
幼馴染みだって?
はい
覚えていないですか
えぇ
そうですよね
まだ小さい頃ですから
そう言って
改めてブレッドを見た。
青い瞳の端正な顔立ちに金色の髪
長身で モデルのようにスーツを着こなしている。
リサはバッグから写真を取りだし
ブレッドに見せた。
子供の頃の記憶はハッキリしないが
写真に写る二人は
サイズが小さくなった今の二人そのものだ。
昔 私達の家は隣同士でした
家族ぐるみのお付き合いをしていたと
聞いています
ブレッドは
写真と目の前のリサを見比べて
ほんとだ
僕達の写真なんだね
我が家にもあるのかなぁ
そう言って
もう一度写真を見る。
そして リサに視線を移すと
それで
いくらかな?
リサは何を言っているのかわからず
聞き返す。
はい?
面倒な説明はいいよ
金額を聞いてるんだけど?
何をおっしゃっているのか
わからないのですが
リサの言葉に
整った顔を少し歪めてブレッドは微笑む。
君がここに来た目的を聞いてるんだ
お金目当てで訪ねてきたんだろう?
いくら…
ちょ
ちょっと待ってください
お金目当てって
どういうことですか?
私
そんなことのために来たわけじゃないわ
じゃ どうしてここに?
あなたのご両親の事故を知って
あなたが…
その…
遺産を少し分けて欲しいと
訪ねてきたんじゃないの?
失礼なこと言わないで
私はただ
あなたのことが心配だっただけです
突然 ご両親を失ったあなたが
どんな様子か気になって…
そんな話
信じると思う?
えっ?
両親が亡くなってから
君のように覚えのない人が
たくさん訪ねてきたよ
遠い親戚だとか
両親の友達だとか
ほとほとうんざりしていてね
そこに君からの連絡だった
幼馴染みとはね
考えたもんだ
聞きながら リサの目に涙がたまる。
懐かしさに 涙を?
演技賞もんだね
蔑むようなブレッドの視線に
今すぐ部屋から飛び出したい気持ちで
リサは膝の上で拳を握りしめた。




