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第48話 手料理

ブレッドは当たり前のように

リサを送ると言う。


ホテルから近い所にある

リサの部屋は

バス通勤が可能だ。


ブレッドはリサの手を握ると



バスで帰れる


と言ったリサの言葉には耳を貸さず

助手席に乗せて車を走らせた。




あの…


うちに寄っていく?




運転する横顔がとても寂しそうで

リサは思わず呟いた。




えっ?


今 何て言ったの?




えっと…


うちに寄っていく?


たいしたものはできないけど

何か作るわ




いいの?




うん




ありがとう リサ


そうだ

ちょっと寄り道していいかな




うん?




近くにモールがあるから

ちょっといい?




うん

それなら食材も買うわ





ショッピングモールに着くと

スーツ姿でカートを押すブレッドの姿は

女性客の視線を集めた。




今度一緒に買い物するときは

その格好はやめてね




どうして?




だって

みんなあなたにときめいてるもん




そう?




そうよ




少し拗ねた風のリサの肩に腕をまわし




やきもち?



と 耳元で囁く。




そうよ

悪い?




さらに口を尖らせるリサの頬に

ブレッドがチュッとキスをした。


照れくさそうにブレッドを見上げたリサは

頬を赤らめながら嬉しそうに微笑む。




僕がときめいてほしいのは

リサだけだよ



愛しそうにリサを見つめて

ブレッドが囁くと




私はずっとときめいてるわ



俯きながらリサが言った。





リサの部屋に着くと

ブレッドは遠慮がちに部屋に入った。




楽にしていて


あっ

バスルームはあそこよ



リサは髪をまとめてエプロンをつけると

早速 料理にとりかかる。



そんなリサを目を細めて見ていたブレッドが




何か手伝うよ



そう言いながら リサの後ろから抱き締めた。


抱き締められて両手が自由にならないリサは




これじゃ 何も作れないわ


大丈夫

座って待ってて



リサの髪にキスをして

まわした腕をほどくと

ブレッドはおとなしくソファに座り

背もたれに体を預けて瞼を閉じた。



トントン

カタカタ

グツグツ



キッチンから聞こえる懐かしい音と

おいしそうな香りに

ブレッドは思わず微笑んだ。



そして そのまま眠りに引き込まれた。




……ッド


ブレッド



自分を呼ぶ声にゆっくり瞼を開くと

愛しいリサが頬を包み込んでいた。




あぁ

寝ちゃったんだね




大丈夫?

疲れてるのよ きっと


食事の用意ができたの

どうする?




食べたい




うん




リサがブレッドの手を引いてテーブルに向かうと

美味しそうな手料理が並んでいた。




わぁ


と 声をあげるブレッドに




野菜中心に作ったからたくさん食べてね



と リサが微笑む。



ブレッドは

おいしい を連発しながら

お皿をきれいにしていった。




ふふっ

そんなふうに食べてくれると

作った甲斐があるわ



リサはとても嬉しかった。




食後のコーヒーを飲みながら

ブレッドは満足そうにリサを見つめると




リサと結婚したら

こんなふうに温かい時間を過ごせるんだね


早くそんな日がきてほしいな



ポツリと呟いた。




食事くらい

いつでも作ってあげるわよ



と リサがウィンクをすると




ホントに?




うん

もちろん




嬉しそうに笑うブレッドは

立ち上がって



さて

そろそろ帰らなきゃ


長居をすると帰りたくなくなるから




うん

気を付けてね




ドアの前で

ブレッドはリサを抱き締めた。




ごちそうさま


今夜はありがとう


久しぶりに

気分よく目覚めたよ



今度は僕の家においで




そう言ってリサを見つめ

優しく口づけると


名残惜しそうに

ブレッドは帰って行った。




リビングに戻ると

リサはソファに置いてある包みに気付いた。




あれ?

これってブレッドがさっき買ったのかしら?



慌ててブレッドの携帯に電話をしてみる。




「ブレッド

忘れ物があるわ」




「それは忘れ物じゃないよ」

「開けてみて」



リサが袋を開けると

お揃いのマグカップが入っている。




「二人の物をリサの部屋に置いてほしくて」


「迷惑だったかな?」




「うれしいわ」

「この次はこれでコーヒーを飲もうね」




「楽しみにしてるよ」




ブレッドは電話を終えて 運転をしながら



リサが言った「この次は…」を思いだし


また訪ねる約束をもらったようで

一人微笑んだ。

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