第47話 いたわり
翌日
ブレッドは緊急理事会で
ゴードン理事の不正を明らかにした。
進行役により
ゴードン理事の行いについて
説明が成される。
業者との癒着により便宜を図り
見返りを求めた長い不正の年月
直接の損失はないものの
信頼を失ったことは明らか
従って 今後の進退問題について
皆さんの意思確認をした上で
ゴードン理事の処遇を決定します
進行役の指示により投票が行われ
満場一致で解任が決定した。
項垂れるゴードン理事。
両親はもちろん
ブレッド自身も親しく接していた彼。
家族の一人を失うようで
ブレッドの心中は冷たい風が吹いていた。
リサは自室でレストランのスタッフと
打ち合わせをしていた。
メニュー作りについて
具体的に動き出す。
シェフのトモヤは東洋人。
日本料理店とイタリア料理店で修行をした経験をもつ。
日本料理は
近年 外国でも市民権を獲得して
今やヘルシー料理には欠かせないわ
トモヤの持ち味を十分発揮してね
はい
がんばります
トモヤは小柄で
身長はリサとほぼ同じ。
年齢も近いし
少年のような雰囲気に
リサは親近感を抱いた。
他のスタッフも
気さくに接してくれるおかげで
和気あいあいと話が進んだ。
いつの間にか
窓から見えるビル群に灯りが点り
一番星が輝いている。
今日はこのへんにしておきましょうか
この次は試作までできたらいいわよね
リサが笑顔で告げると
スタッフは立ち上がり
和やかなムードのまま部屋を出ていった。
一人部屋に残ったリサは
窓の外を見ながら
う~ん
と 伸びをする。
なんかいい感じ
ふふっ
一人ニコニコしていると
ドアがノックされる。
リサが返事をしながらドアを開けると
ブレッドが立っていた。
ブレッド
どうぞ
招き入れるために大きくドアを開けると
ブレッドがリサに抱きついた。
ブレッド?
なにかあったの?
ブレッドの背中に腕をまわし
優しく擦りながらリサが訊いた。
ゴードン理事が解任されたんだ
そう
大丈夫?
今は
大丈夫とは言えない
無理しないで
ドアを開け放したまま抱き合っていると
先程までミーティングをしていた
スタッフの一人が入り口で足を止めた。
気配に気付いたリサが
あっ
と小さく呟くと
すみません
書類を忘れてしまって
と ばつが悪そうに頭を掻いた。
リサはゆっくりとブレッドの腕から離れると
机の上の書類を取って
これね?
そう言いながらスタッフに手渡した。
申し訳なさそうにドアを閉めて
スタッフが立ち去る。
ちょっとマズかったかしら?
どうして?
社長の立場が…
そんなの全然気にしないよ
みんなの前で
リサに愛を囁こうか?
からかわないで
ブレッドは机に腰かけると
リサを引き寄せて髪を撫で付ける。
僕は本気だよ
僕たちのこと
公表したくて堪らない
リサが僕のものだって
みんなに知らせたい
仕事を始める以前に
しばらくは二人の仲をふせていたいと
リサの方からブレッドに言っていた。
もしかしたら
知られてしまうのも時間の問題かもね
でも
それまではこのままで…ね?
瞳をクリッとさせながら
首を傾けてリサが言った。
ブレッドは髪に触れていた手を
頬に滑らせると
親指でリサの艶やかな唇をなぞる。
リサは指の感触にときめきながら
ブレッドの瞳を見つめる。
リサの唇に視線を落としていたブレッドは
リサの瞳を見つめ返すと
愛してる
甘く囁いて 優しく口づけた。




