第45話 闘志
会議室に幹部社員が集まっていた。
ブレッドがリサを紹介する。
緊張の面持ちで挨拶をすると
好意的とそうでない人物を
感じとることができた。
訝しげな表情には
ブレッドとの関係や自分の力量を
推し量っているのが見てとれる。
だが
トレーシーの父ゴードン理事は
それとは違う思いでいるように見えた。
早速の出勤とは熱心だね
まぁ よろしく頼むよ
ゴードン理事の薄笑いが
なんとも鼻につく。
他の幹部と話すブレッドに目をやると
ブレッドもリサを見て 心配そうに微笑んだ。
ブレッドの傍にいられる喜びはあるものの
厳しい目で見られながら
仕事をしていくことを認識したリサは
ふっと息を吐き決意を新たにする。
ランチタイムになり
リサは自分のために用意してもらった部屋で
買ってきたサンドイッチを食べながら
パソコンに向かっていた。
本来 仕事熱心なリサは
品定めをするような幹部社員たちの反応に
小さな闘志を抱き始めた。
ふふっ
あのおじさん達め
病院の患者さんで鍛えられた私を
甘く見ないでほしいわ
少しくらいの嫌がらせなんて
なんともないんだから
机の端に置いてある
アイスコーヒーのカップに手を伸ばすと
視線の先で
ドアにもたれて立っているブレッドに気付く。
ブレッド!
もう びっくりしたぁ
誰と話してたのかな?
聞こえてたの?
ううん
でも ノックに気付かないほど
ブツブツ言ってたから
いやだぁ
早く声かけてよぉ
だって
表情がどんどん変わって
かわいかったから
コホン…
で?
何か用事だったの?
リサがいるから来たんだ
構わないだろう?
机に座るリサの傍まで歩いてくると
柔らかな髪に手を差し入れて
後ろに撫で付けた。
社長
お仕事は大丈夫なんですか?
リサがふざけて言った。
今はランチタイムじゃあないか
ブレッドもわざと偉そうに
返事をする。
では 何か召し上がらないと
リサが立ち上がって言うと
だから リサに会いに来たんだ
お腹より
心を満たしたくてね
リサはブレッドの前に立つと
どうしたの?
何かあった?
リサがブレッドの顔を見上げて訊いた。
大丈夫だよ
リサの顔を見たら また元気になった
リサはブレッドの腰に手をまわし
その胸に頬を寄せた。
私が傍にいるから
ずっと いるからね
ブレッドがリサの髪を撫でながら
キスしたい
耳元で囁く。
ブレッドの胸から顔を上げると
リサは背伸びをして
チュッとブレッドに口づけた。
ニッコリ微笑んだブレッドは
ゆっくりリサに唇を重ねる。
リサの柔らかな唇を堪能したブレッドは
毎日 ここに来てもいいかな
照れくさそうに訊いた。
クスッ
いいわよ
リサはもう一度ブレッドに抱きつくと
大好きよ
と囁いた。




