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第44話 新しい生活

ブレッドに送られて新居に着いたのは

日付が変わる少し前だった。


思いがけないプロポーズで

リサはこの上ない幸せに浸っていた。



部屋は独りで暮らすには広すぎるくらいで

すでに内部は家具などが配置されている。


クローゼットには

ブレッドが用意したであろう

新しい洋服がずらっと並び

まるでブティックのようだ。



リサはニッコリ微笑む。



温かい気持ちになると同時に

急に眠気を感じて

真新しいシーツに体を滑り込ませると

すぐに瞼を閉じた。




翌日

オフィスビルに出社したリサは

社長室を訪ねた。



まだ出社していないブレッドを

パンツスーツ姿のリサが

ドキドキしながらドアの外で待つ。



5分ほどで

エレベーターのドアが開いた。




リサ!


待っててくれたの?




社長室に向かって歩いてくる途中で

ブレッドはリサの姿を見つけて叫んだ。


スッキリ着こなしたスーツ姿が素敵で

リサは思わず俯いた。



リサの前に立ったブレッドが




おはよう リサ

どうしたの?




お おはよう


あの…




うん?


とりあえず中に入って




ブレッドはリサが社長室に入ると

静かにドアを閉めた。




で?

どうしたの?




とても…


す…てき




リサ



ブレッドが思わず抱き寄せた。




だ だめよ

オフィスでしょ




リサが悪いんだ

そんなこと言うから




抱き締められて

顔を見られずに話せる状況でリサが言う。




スーツ姿がとても素敵だわ


久しぶりに会ったから

なんだか恥ずかしくて




抱き締めた腕を緩めたブレッドが

リサの顔を見つめると




そんなに見ないで


素敵すぎて

見られることが恥ずかしい




どうして?




自分を知ってるから


一瞬で心を惹き付けるような魅力はないし

見つめられて満足させられる美しさもないもの




ブレッドはリサの髪に口づけをして



こんなに綺麗な髪なのに?




瞼に口づけをして



こんなに澄んだ青い瞳なのに?




鼻に口づけをして



こんなに形のいい鼻なのに?




そして唇に口づけをすると

なかなか離さず


リサの唇を味わっているようだった。



ようやく離して




こんなにかわいい艶やかな唇

キスをすると

僕を幸せな気分にしてくれるのに?




ブレッド




他の男がリサを見るたびに

胸がざわつくんだ




ふふっ


心配はいらないわ

私 モテないもの




自覚してないだけさ




お世辞でも嬉しいわ




ブレッドが何か言おうとしたときに

ドアがノックされた。



秘書が入ってくると

1日のスケジュールを伝える。


そして

リサの部屋に案内すると言われて驚いた。




私の部屋?




仕事をするのに部屋が必要でしょ?




え ええ まぁ


でも 書き物ができるスペースがあれば

どこでも構わないのに




廊下を歩いて

社長室の隣にある部屋のドアが開けられる。



社長室の半分ほどのスペースだったが

病院勤務のときにも

こんなに立派な部屋は使ったことはなかった。




なんだか勿体ないわ 私には




この部屋で

僕に力を貸してほしいんだ



改めて

よろしく頼むよ




こちらこそ

よろしくお願いします




微笑み合って握手を交わした。


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