第42話 障害
ゴードン理事ですが
トレーシー嬢を社長に嫁がせようと
父娘で目論んでいます
ですが
ゴードン理事には背任の疑いがありまして
密かに調べを進めているところなんです
まぁ
何だかあまり楽しくないお話ね
ブレッドは大丈夫?
うん
だけど リサとゆっくり過ごす時間がないんだ
いろいろ やることがあってね
そう
ごめんね
僕のほうから呼んでおきながら
仕方ないわ お仕事だもの
リサ
少しの間 不愉快な思いを
させてしまうかもしれない
だけど僕を信じて
心を強く持っていてほしいんだ
うん
大丈夫よ
だけど さっきの女性
ブレッドのことが好きみたいだったわ
婚約者ではないのね?って
お察しの通り
トレーシー嬢は社長に好意を持っています
理事はそれを利用して確固たる地位を築き
あわよくば主導権をも手中にしたいと
目論んでいるはずです
フォード弁護士がリサに言った。
私
あの親子にとって目障りな存在なのね
リサが表情を曇らせて隣のブレッドを見つめた。
ごめんね
不愉快な思いをさせて
ううん
ブレッドのせいじゃないもの
すでに理事は
フランルさんについての情報を
人を使って調べたものと思われます
離れていて何かされたりしたらいけないと
社長が心配されて
少し強引ではありましたが
こちらに来ていただいたのです
とりあえず今夜は
お二人ごゆっくりお過ごしください
では
私はこれで失礼いたします
二人にそう告げると
フォード弁護士は部屋を出ていった。
二人きりになると
ブレッドは隣に座るリサに向き合い
すまなそうに語りかけた。
リサ
面倒なことに巻き込んでしまったね
だけど
リサと離れていて
彼らから何かされたらと思うと
心配でたまらなかったんだ
リサの顔を見つめながら
右手でリサの頬を包み込んだ。
リサも
まっすぐにブレッドを見つめる。
会いたかったの
ずっと
だけど
すぐに会える距離じゃないし
我慢しなきゃって
でも 離れていると
恋しさが募るばかりで我慢も限界だった
そんなときに
こちらに来ないかって言ってもらって
ほんの一瞬迷ったけど
ブレッドの傍に行きたいとすぐに決心したわ
だから
そんなこと気にしないで
私はブレッドと一緒にいたくて来たんだもの
リサが話し終えると
ブレッドはリサの頬にチュッとキスをして
ありがとう
僕もリサに会いたくて
どうにかなりそうだった
リサの瞳を見つめながら
ブレッドが言う。
長い睫毛を伏せながら
ブレッドの視線がほんのり色付いた小さな唇に移り
優しくリサに口付けた。
離れていた時間を埋めるように
何度も重なる唇。
やっと離れて
愛しそうにリサを見つめると
予定がなかったら
夕食を一緒にどう?
ブレッドが訊ねると
誘ってくれなかったら
泣いてるわ
一人ぼっちは寂しいもの
少し潤んだ瞳でリサが囁いた。
ブレッドはリサを引き寄せて
強く抱き締めると
これからはずっと傍にいるからね
リサ
愛してる
ブレッドの優しい声が
抱き締められた体に響き
私も愛してる
リサはそう言いながら
ブレッドの背中に腕をまわした。




