表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

41/56

第41話 新たな1歩

リサの退職願がようやく受理され

引き継ぎの日々が続いた。


通常の自分の仕事をこなしながら

後任者へ引継書を作ったり

患者への対応をサポートしたり

疲労困憊の毎日だったが


疲れているのは体だけで

ブレッドの隣にいられることを想うと

リサの心は弾んでいた。




勤務最終日。


ジェニーをはじめ

数人の同僚から花束をもらい




元気でね

幸せになるのよ



涙ながらのジェニーの言葉に

抱き合って別れを惜しんだ。




いよいよ出発の日


生まれ育った土地を離れ

ブレッドの待つ都会へと旅立った。




空港に迎えに来ていたのは

1度会ったことのあるフォード弁護士。




お疲れさまでした


車が正面で待っておりますのでどうぞ



フォード弁護士と車に乗り込むと

リサはフォード弁護士に訊ねた。




あの

ブレッドは?

お仕事中ですか?




はい


詳しいことは後程ご説明いたします




何か面倒なことがあるんですか?




はぁ…



フォード弁護士は言葉を濁す。




来てよかったんでしょうか




もちろんです


近くで社長を見守っていてください




あの…


以前 ホテルで

ブレッドとのことをお約束したのに

守れなくてごめんなさい




いいえ

私は社長が幸せならそれでいいんです


条件ではなく心が大切なんだと

社長を見ていて気付きました




フォード弁護士の穏やかな表情を見て

ずっと心の隅にあった

後ろめたいような気持ちを

リサは消し去ることができた。




リサとフォード弁護士を乗せた車は

Wグループのオフィスビルに着き

ブレッドのいる社長室へと歩みを進めた。




フォード弁護士がドアをノックして開けると


毎日恋い焦がれていた

ブレッドの姿が見えた。


リサはすぐに傍に行こうと

足を踏み出したが


室内に美しい女性の姿があるのに気付いて

そこから動けなくなった。




さぁ

中にどうぞ




フォード弁護士に促され

強張った顔で社長室に入る。




リサ

待ってたよ


会いたかった




立ち上がって微笑みながら

ブレッドが腕を広げた。


一瞬 心が弾んだが

無視することができない女性の強い視線が

リサの体をその場に留めた。




ブレッド

元気そうで安心したわ



リサは僅かに声を震わせて

ぎこちない笑顔で声をかけた。




女性の隣には

父親らしき男性がいる。


よく似ている親子は

あからさまに訝しげな表情を浮かべて

射るようにリサを見ていた。



ブレッドがリサの腕を掴んで

自分の横に引き寄せると




こちらはリサ フランル



リサ

こちらはゴードン理事と

トレーシー




簡単に挨拶の言葉を交わすと

ブレッドはリサを引き寄せたまま

親子の向かい側に座った。



座っても離れないブレッドの温かさを

繋いだ手からも感じて

親子の視線から守られている気がした。




ゴードン理事は

僕の両親がホテルを相続する前から

勤務している重鎮なんだ


トレーシーは理事の次女で

僕の大学の先輩でもある




幼馴染みでもあるわ

小さい頃から仲良しだったもの




そうだね




で?

リサさんはどういう?



トレーシーが片方の眉をあげて

少し顎をつきだしながら言った。




リサは僕の大切な人です


新しいレストランのプロジェクトに

力を貸して欲しくて来てもらいました




婚約者ではないのね?

安心したわ




トレーシーの意味ありげな言葉に

リサの胸が傷んだ。




じゃ 私らはそろそろ



ゴードン理事がトレーシーに目配せをして

二人は社長室から立ち去った。




立って見送ったブレッドとリサは

大きく深呼吸をした。




大丈夫?




うん


でも 緊張した




私から

お話したいことがあるのですが…



少し離れたところに控えていた

フォード弁護士が声をかけた。




あぁ そうだね


でも 少しだけ待って




ブレッドがリサを抱き寄せて




リサ

来てくれてありがとう

会いたかった


とても会いたかったよ




腕を緩めて リサの顔を愛しげに見つめると

ゆっくりと口付けた。



唇が離れても

腕からリサを離したくないブレッドは

肩を抱いたまま




リサ

座って話を聞いて



ブレッドがリサを隣に座らせると


それを見届けたフォード弁護士が

向かい側に座って口を開いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ