第33話 ぬくもり
頬を染めて伏し目がちに囁くリサを
ブレッドは強く抱き締めた。
そして
優しく頬に口づける。
ブレッドの唇はそのまま柔らかな頬を滑り
わずかに開いたリサの唇に重なった。
ふんわり艶やかな唇の感触を味わうように
ブレッドは食むように口づける。
甘くて優しいその口づけに
リサもまた
気持ちの昂りを感じた。
リサ
今すぐにでも連れて帰りたい
僕のところに
ブレッド
リサの唇をやっと離したブレッドが
音をたてて
何度も頬にキスをしながら囁いた。
ぽつん…
ぽつん…
リサの頬やブレッドの鼻の先に
雨粒が落ちてきた。
雨だわ
まったく野暮な雨だなぁ
邪魔しないでくれよ
その言い様がおかしくて
リサは声を上げて笑った。
さて
じゃ そろそろお送りしましょうか
ブレッドがリサの手を取って
二人は足早に車へと向かった。
然程 時間がかからずに
リサの自宅前に到着した。
こっちの家が
僕の家だったんだね
記憶にないなぁ
今も誰か住んでるの?
ううん
今は空き家よ
近々 お引っ越ししてくると思うけど
そっかぁ
雨はさらに降り続いている。
雨宿りしていく?
って言ってあげたいけど
幸いなことに
車だから濡れずに快適だし
食事は済んだし
今夜はこれで解散しましょ
リサが 少し意地悪っぽく
ブレッドに言った。
どこが幸いなんだ
僕にとっては最悪な状況だよ
うふふ
また明日ね
あっ
まだ こっちにいるでしょ?
まだ いて欲しい?
社長さんだから無理かしらね?
社長さんだから大丈夫なの!
顔を見合わせて
二人で笑い合った。
じゃ
また明日ね
うん
連絡 待ってるから
おやすみなさい
おやすみ
二人同時に顔を近づけて
唇を重ねた。
ブレッドの唇が離れたリサの顔は
とろけそうに艶やかだった。
そんな顔を見せられたら
帰れなくなっちゃうよ
ブレッドはそう言って
勢いよく外に出ると
助手席のドアを開けた。
リサが道路に降り立つと
ブレッドは
ギュッと抱き締めてリサを玄関へと促す。
さぁ 入って
ドアの前で振り返るリサに
ブレッドが声をかけた。
小さく頷くと
リサは手を振って
ドアの向こうに姿を消した。
見届けたブレッドは
車内に残るリサの香りに包まれながら
宿泊先のホテルへと車を走らせた。




