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第30話 前進2

めずらしく

定時で仕事が終わった。


職員通用口から外に出ると

ブレッドが

走りながら近付いてくる。




お疲れさま

もっと遅くなるかと思ったけど

わりと早かったね




今日は静かに終われたから




そう言った後

ブレッドの洋服が

昼間と違うことに気付いた。




何をして過ごしたの?




まず

ホテルにチェックインしたよ


そして

シャワーの後 ホテル内を偵察してた




クスッ

仕事熱心ね




良いところは取り入れたいと思って




見つかったの?

取り入れたいところ




ううん

うちのホテルのほうが勝ってるかな



微笑み合いながら歩き出した。




車はあれだよ




レンタカーを借りたの?




うん




二人は車に乗り込むと

リサの案内で

とあるレストランに着いた。



ブレッドと行った

都会のレストランのように

洒落てはいないが


居心地が良くて料理も美味しかった。




こちらには

どのくらい滞在する予定?



デザートを食べながらリサが訊いた。




未定




えっ?




言ったでしょ

病気だって


治らなきゃ帰らない



そう言って

ブレッドは真っ直ぐにリサを見つめた。


その言葉の意味がリサにもわかり

本心を伝える決心をした。




店を出た二人は

リサの案内で ある場所に向かう。




ここに駐車して



先客の車が数台停まっていた。


ブレッドが

ヘッドライトを消すと明るい場所に気付く。




あそこ?




そうよ



車を降りると

リサが手を差し出して




こっちよ



ブレッドの手を引いて歩く。



手を繋いで明るい場所に行くと

大きな噴水が現れた。




おぉ



とブレッドが声をあげる。




綺麗でしょ?


ここはね

小さい頃に

あなたのご家族と私の家族で

よくピクニックに来た所よ


向こう側に広場があって

二人で遊んでいたんだって




そうなんだ




噴水から少し歩くと

花壇にいろいろな種類の花が

綺麗に咲いていた。


その周りに花の形をした椅子が

いくつもある。



すでに何人もの先客がいたが

座れる椅子を見つけた。




リサはたまに来たりしているの?



座りながらブレッドが訊いた。




うん

たまにね


ここにいると

両親と過ごした時間が

目の前に映像として思い浮かぶの


あっ

わかりにくいよね




ううん

わかる気がする


僕も家にいると

両親がそこにいた記憶が目の奥に甦るから




リサ

寂しいの?




寂しくないと言えば嘘になるけど


仕事もしているし友達もいるし

寂しいと感じるときは

あまりないかな




そうなんだ

残念




なにが?




だって

毎夜 泣きながら眠っているなら

僕が隣にいてあげようと思ったのに




クスッ

ブレッドったら



内心ドキドキしている

リサだった。

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