第29話 前進
先生に診てもらっても治らない
治せるのはリサだけだよ
ブレッドの胸から顔を上げて
リサがブレッドを見つめる。
そのリサの顔を微笑みを浮かべて
愛しそうに見つめ返しながら
恋の病だから
ブレッドが言った。
ブレッド
リサの頬がピンクに染まる。
リサを胸から離し
両手を握りしめながら
僕のこと
幼馴染みとしてではなく
恋人として見てくれないかな
ブレッドが
少し緊張した面持ちでリサに言った。
その言葉が嬉しくてリサは微笑んだが
その笑顔はすぐに消え
リサがブレッドに問い掛ける。
縁談があるんでしょ?
どうしてそれを?
聞いたの
もしかして
ホテルに滞在してたとき?
うん
だから僕を遠ざけたの?
う…ん
じゃあ
リサの本当の気持ちは?
リサはすぐには答えない。
ブレッド
そろそろ戻らなきゃ
終わる頃にまた来るよ
返事に困ったリサが
ぶっきらぼうに話を終わらせたが
ブレッドは気にもせずに
リサの仕事終わりに迎えにくると言って
タクシーで立ち去った。
ナースステーションに顔を出すと
リサ
なんだったの?
ジェニーが声をかけてきた。
ジェニーには
ブレッドのことを話していたので
リサは事実を話す。
ブレッドが来たの
えっ?
ブレッドって
ホテルオーナーのイケメン?
うん
わぁ~
リサを迎えに来たの?
それはわからないけど
恋人として見てほしいって
はぁ…
素敵ねぇ
で?
もちろん
イエスって言ったんでしょ?
ううん
まだ何も
弁護士さんに言われたこと
気にしてるの?
だって
彼は気持ちに正直に
わざわざ来てくれたのよ
リサも気持ちを伝えたら?
う…ん
どうすべきかじゃなくて
どうしたいかじゃない?
私が彼の幸せを
邪魔することにならないかしら
それは誰にもわからないわよ
たとえ
好条件のお嬢様とだって
幸せになるとは限らないでしょ
彼がリサをのぞんでいるのなら
リサが彼の傍にいることが
彼にとっては幸せなんじゃない?
もちろんリサにとっても
そうね
決めるのは彼だわ
私は自分の気持ちを彼に伝える
うん
しっかりね
ありがとう
ジェニー
私も
イケメンに会いたかったなぁ
クスッ
ジェニーったら
二人は微笑み合って
また
それぞれの持ち場に戻った。




