第28話 突然の再会
慌ただしい日常が戻ってきた。
いつもの勤務サイクルに
体が慣れた頃になっても
ブレッドからの連絡は
毎日 途絶えることはなかった。
何となく
罪悪感に似た感情が付きまとう。
ブレッドとは
距離を置かなければいけないのに
自分の心が言うことをきかない
彼の幸せを願っているはずなのに
たとえ
彼の横にいるのが私でないとしても…
いや
それは私の本心だろうか
フォード弁護士が
もしも訪ねてこなければ
私はどうしていただろう
想いをブレッドに告げて
二人の未来を
見つめていただろうか
自宅で
見てもいないテレビに目を向けたまま
リサは想いを巡らせた。
ある日のこと
リサはジェニーと
遅めのランチを終えて休憩室にいた。
そこに
リサを呼び出すスタッフ専用携帯電話が鳴る。
うん?
なんだろう
今日はもう
予約の患者さんはいないはずなのに
ジェニー
少し早いけど もう行くわ
ゆっくり休んでね
ジェニーに手を振ると
休憩室を出たリサは
呼び出された外来の受付に向かった。
今 私を呼びました?
受付に座るスタッフに言うと
あちらの方が
お知り合いだとおっしゃるので
言われた先の長椅子を見て
リサは思わず息を飲む。
ブレッドだ。
リサはただ驚いた顔で
ブレッドにゆっくりと近付く。
ブレッド?
声が上ずっている。
リサ!
満面の笑みを浮かべて
ブレッドが立ち上がった。
ずっと
恋い焦がれていた人。
リサは思わず
ブレッドの胸に飛び込んだ。
リサ
会いたかった
私もよ
気持ちを隠すことなど出来ずに
青い瞳を見つめながらその頬に手をあてた。
ブレッドは
頬に触れられたリサの手のひらに
自分の手のひらを重ねる。
見つめ合いながら
ブレッドがリサに囁いた。
後ろにいるスタッフが
こちらを見ているけど大丈夫?
はっとして
ブレッドの胸から離れた。
そっと振り向くと
スタッフがうっとりした顔で
見つめている。
リサはスタッフに微かに笑顔を向けて
ブレッドの手を取って中庭へと歩き出した。
入院患者が散歩できる
広い中庭のベンチに座る。
隣にいるブレッドの爽やかな香りが
そよ風に乗ってリサの鼻をくすぐった。
どうしたの?
私に会いに来たの?
ブレッドの方に体を向けて
リサが問い掛けた。
ハグしていい?
えっ?
ここなら いい?
うん
返事をすると同時に
ブレッドがリサを引き寄せた。
リサ
ブレッドはリサを胸に強く抱き締め
その頬にキスをした。
ブレッドの背中に腕をまわしたリサは
ねぇ
どこか悪いわけじゃないわよね?
抱き締められたまま訊いた。
リサはブレッドの胸から離れ
ブレッドの瞳を見つめながら
どうしたの?
と 静かに囁く。
ここ
ブレッドが
自分の胸に手を置いた。
心臓?
痛むの?
うん
わかったわ
大丈夫よ
すぐに診てもらえるから
立ち上がろうとするリサを
再び胸に抱いて
ブレッドは静かに話し出す。




