表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/56

第27話 蓋

数日ぶりの出勤。


リサはジェニーへのお土産を持って

ロッカールームに入る。




おはよう リサ

おかえり




おはよう


ただいま ジェニー

これお土産よ




えっ?

ほんと?


ありがとう


開けてみてもいい?




うん



ジェニーは

明るいピンクオレンジの

ブラウスを広げた。



わぁ

綺麗な色


この間 買いそびれちゃったもんね


うれしいわぁ

ありがとう リサ




良かった

気に入ってもらえて




着替えをしながら会話を続ける。




で?

どうだったの 幼馴染みは?



ジェニーが

にっこりしながらリサの瞳を覗き込む。




うん…


思っていたより

大きなホテルの跡取りだったわ




そうじゃなくて

彼よ

彼自身は?


素敵になってた?




小さい頃の記憶があまりないから


でも

写真に写った子供の頃と

あまり変わってなかったわ




何だか歯切れが悪いわねぇ


何かあったの?




ううん

別に


久々の再会を喜んで楽しく過ごしたわよ




もしかして

恋の炎が燃え上がったとか?




さっきも言った通り

彼は大きなホテルのオーナーよ


私とは住む世界が違うわ




何?

そんなふうに突き放されたの?


相手にできないって?



ジェニーは

不機嫌そうに言った。




ううん

そうじゃないわ


彼は

優しくて 穏やかで

色眼鏡で 人を見たりしないわ


ずっと一緒に過ごしてくれて

とても楽しかったもの




それにしては

沈んで見えるのは私の勘違いかしら?



ジェニーの問い掛けに

目が泳ぐリサ。


リサの言葉の端々に

寂しげな気持ちが表れているのを

ジェニーは感じていた。




私と彼との間には高い壁があるの


越えようとしてはいけない壁なのよ




どういうこと?




あ…


ジェニー

時間だわ


そろそろ行かないと




そうね


必ず続きを教えてね



手を振って

それぞれの持ち場に向かった。



仕事が始まると

リサはいつものように

明るい笑顔で患者に接した。


そうすることで

ブレッドに出会う前の自分を

取り戻そうとしているようだった。



忙しさから

仕事以外のことは考えずに済んだが


ずっとその時間が続くはずもなく

時折 ブレッドの笑顔が脳裏に浮かぶ。


ブレッドのことを

想わないようにしようとすること自体

すでに想っていることに気付かずにいた。



昼休みに携帯電話を見てみる。


気にしていないつもりだったが

連絡がきていることを期待する自分に苦笑した。




ライン受信アリ。




「リサ

おはよう

リサの笑顔を思い出して

今日もがんばるよ」



ブレーキをかける心の裏で

ブレッドを思う気持ちが

垣根を越えようとしている。


自分でも

どうしようもない感情が沸き上がる。


離れて暮らす二人の距離が

心の距離となるように

とにかく今は

あがいてみようとリサは思った。




リサの思いとは裏腹に

ブレッドはますます気持ちを募らせ


毎夜 電話かラインでリサを感じては

心の隙間を埋めていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ