第23話 迷い
リサの潤んだ瞳が揺れる。
ブレッドの唇が
リサの唇に再び重なった。
今度は食むように
何度も…熱く…
リサもまた熱く口づけを返す。
お互いの情熱のままに唇を求め合った。
ようやく離れた唇。
二人の気持ちは
同じくらいに昂っている。
リサ
帰らずに
僕の傍にいてくれないかな
ブレッドは
リサの両手を握りながら囁いた。
その言葉を聞いてリサは息を飲む。
そうだった
ブレッドにこんなことを
言わせてはいけなかった
私ったら雰囲気にまかせて
気持ちのままに熱くなりすぎてしまった
それはできないわ
気付かれないように
大きく息を吸うと
リサはきっぱりと言った。
ああ
帰らないで…は無理だったね
ううん
傍にいることもだわ
田舎のあの町が私の居場所なの
生活のすべてがあるんだもの
僕の傍には
リサの居場所は作れないのかな?
ごめんなさい
やっぱりダメかぁ
繋いだままの手を額にあてながら
ブレッドは肩を落とした。
その様子があまりに寂しそうで
リサの胸がキュンとした。
あなたの傍にいると言いたかった。
でも
彼の立場を考えると
自分の居場所などあるはずがないと思った。
それでも気が付いたら
リサは俯いたブレッドの頬に
口づけをしていた。
あなたの傍で
支えてくれる人が必ずいるはずよ
大丈夫だから
元気だして
リサ
さっきは
気持ちが通じ合ったと思ったんだけど
僕の勘違いだった?
たしかに
私の気持ちも高鳴ったわ
だって
こんなに素敵な男性にキスされたんだもの
言ったでしょ
私はブレッドが大好きなの
嫌いな人となら
あんなふうにならないわ
ブレッドの襟元に視線を落として
リサが言った。
でも
でも
愛じゃない?
う…ん
ブレッドは
わずかに首を横に振りながら
歪んだ微笑みを浮かべた。
困らせちゃったね
ごめん…
ううん
好きでいてくれるだけでも
良しとするかぁ
自分に言い聞かせるように呟いたブレッドの言葉。
それを聞いたリサは
複雑な気持ちになった。




