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第22話 わかれのとき5

水族館をひとまわり終える頃には

夜景を見るには十分な時間になった。



薄暗い通路を歩くうちに

いつの間にか自然と手が繋がれる。



リサにとって

心浮き立つひとときになった。




さて

そろそろ展望台に行ってみようか




そうね




ガラス張りの展望台から

展望デッキに出てみる。




ビル群が暗闇にそびえ立ち

窓明かりがキラキラと瞬く。




わぁ~

きれいね~


橋もライトアップされてるわ


ずうっと遠くにかすかに見えるのは船ね



夜景の美しさに目を奪われるリサは

風になびく髪を押さえながら

肩を上げて首をすくめた。




寒い?



ブレッドがリサの顔を覗き込む。




少しだけ

でも 大丈夫よ




じゃ

僕が風避けになってあげる



リサの後ろにまわり

背中越しに リサの肩を包んだ。




どう?

あったかいでしょ?




う うん



風になびくリサの髪が

ブレッドの首元をくすぐる。




リサの髪が僕を誘ってるんだけど




えっ?




寒いからもっと暖めてって




私 言ってないわよ




リサの髪が言ったの



言い終えると

リサの肩をくるっと回し

自分の胸に囲った。


背中にまわされたブレッドの腕は

優しくリサを包み込んでいる。


ブレッドの香りに鼻をくすぐられ

リサも思わず

ブレッドの背中に腕をまわした。


目を閉じると

居心地の良さに心がほんわか温かい。




この腕の中にずっといられたなら…


今だけ

今だけこのまま…


リサは思い残すことのないように

ブレッドの温もりを味わった。



リサは目を開けて

もう1度香りを胸に吸い込むと

ブレッドを見上げて囁いた。




夜景を見なくていいの?




ブレッドが

胸に囲っているリサを見下ろすと




リサの瞳も

キラキラして綺麗だよ


夜景より

僕はリサを見ていたい



ブレッドは

リサの頬を手のひらで包み込むと

リサの額に口づけた。


その瞬間

リサの気持ちが溢れだしてしまう。




ブレッド…



リサを見下ろすブレッドの熱い眼差し。


見つめ返すリサの瞳もまた

熱を帯びていた。



見つめ合う二人の瞳が

キラキラ輝いている。


ブレッドがゆっくりと頭を傾けて

リサの唇に口づけた。


触れただけですぐに離れる唇。


ブレッドは気遣うように

リサの瞳を見つめる。



口づけられたリサの唇は

わずかに震え

見つめられた瞳は潤んでいた。


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