第20話 わかれのとき3
駐車場に向かって歩く二人。
カフェを出てから
ブレッドは無口だった。
相変わらず
リサの手を握っているが
先程までとは
何となく違うかんじがした。
ブレッド?
なんだか落ち着かなくて
リサが声をかける。
うん?
なぁに?
店を出てから
はじめて目が合った。
なんとなく
気まずくなってない?
あぁ
ごめん…
考え事をしてた
少しトーンの落ちた声に
リサは胸が痛くなる。
私だって同じ気持ちなのに
でも そんなこと言えない
私と彼とでは住む世界が違う
彼は恋愛を楽しむ前に
グループのトップとして
将来を見据えた堅実な選択を
求められている
私が惑わす訳にはいかない
私と一緒にいるの嫌になった?
そんなことないよ
でも
元気がないわ
そりゃ
フラれそうだったのを
聞かなかったことにしようと
今 頭を切り替えるのに必死なんだ
泣きそうなのを我慢してるんだよ
クスッ
ブレッドったら
歩みを止めて
リサはブレッドに向き合った。
ハグしちゃダメ?
どうして?
心配?
当たり前じゃない
あなたを思うと切なくなるの
それって僕への愛?
い いいえ
違うわ
でも
何でもないなら
どうして切なくなるの?
じゃ
ハグしない
リサはまた 歩き出した。
待ってよ
リサ
私ってばダメね…
本心を見透かされちゃうじゃない
スタスタ歩くリサに追い付いたブレッドは
顔を覗き込みながら
怒ったの?
と聞いた。
ううん 別に
ここは
不機嫌で通したほうが良さそうだと
リサは思った。
ブレッド
うん?
最後だから
夕食を一緒にどうかしら?
最初からそのつもりだよ
じゃ
1度ホテルに帰っていいかしら
荷物の整理もあるし
リサは気持ちを知られないように
離れていようと思った。
僕と距離をおくつもり?
いいえ
じゃ
一緒にいようよ
私の気持ちを探ろうとしない?
問いつめたりしない?
しないよ
じゃ いいわ
こんな風に言ったら
ブレッドは勘づいてしまうかも
私ったら自分の気持ちを
隠しておくこともできないのかしら
トボトボ歩き出したリサの手を
ブレッドはまたしっかり握った。
気持ちが止められないほど
ブレッドに惹かれているのに
無理にそれを隠そうとしているリサは
手のひらですくった水が
少しずつこぼれるように
自分の気持ちを隠しきれずにいた。




