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第14話 好意

ブレッドがドアを開けて

リサに手を差し出す。




ありがと



リサはブレッドの手を取りながら

周りを見渡して




ここは?



と頭を傾げた。




僕のお気に入りの場所


リサに見せたかったんだ




ブレッドはリサの手を握り

ゆっくりと歩き出す。




駐車場から続く道路の端に

幅広の階段がほんの数段あり

登りきったところは広場になっていた。


その真ん中には

彫刻が施された噴水があり

ライトアップにより

水が色をつけて吹き出している。


地面には

青と紫のLEDが等間隔で埋め込まれ

ランダムに光を放っていた。


噴水の周りにはベンチがいくつもあって


空が青から紫に変化し

夕暮れにさしかかるとき


たくさんのカップルが

幸せそうに微笑んでいる。




わぁ

きれいねぇ


あそこに座ってもいい?




微笑んでブレッドが頷く。




ベンチに座ると

噴水から飛び出した水しぶきが

時折風に乗ってリサの頬を濡らした。




気持ちがいい

素敵なところねぇ




気に入った?




うん とっても


いつもは 一人で来るの?




うん

何となく気分転換したいときに

ふらっと来ては噴水を見てるんだ




そうなの


だけど

一人で居心地悪くない?



そう言って

リサは大きな瞳を

周りのカップルに向けた。




そうなんだ


いつもあてられっぱなしでね



ブレッドが苦笑いをする。




私もね

大好きなの 噴水


まだ母が生きていた頃

家族でよく行ってたわ


母が亡くなってからは行かなくなったけど



そう言った後

リサは思いを巡らせていた。




そういえば


ブレッドのご家族と一緒に

ピクニックをした公園にも噴水があったわ



断面的に記憶が甦り

リサが嬉しそうにブレッドに言った。




僕も何となく覚えてる


そうかぁ

リサのご家族と一緒だったんだね




二人は微笑みながら

噴水を見ていた。




ブレッド


明日はご両親に会いに行くわ

私一人でも大丈夫だから


お仕事も気になるんじゃない?




いや

リサの方が気になる

だから明日も一緒に行くよ


嫌?




嫌なわけないわ


ただ

私に付き合わせてしまって

申し訳なくて




そんなこと気にしないで

僕が勝手に休んでるんだから


それに

わざわざ会いにきてくれて

僕がどれほど嬉しかったかわかる?




でも

初めは疑っていたじゃない



リサが睨む。




ごめん ごめん


純粋に僕を心配して来てくれるなんて

思いもしなかったから




クスッ


もういいわ

許してあげる




よかった




ふふふ


私もね

思い切って来てみて良かったわ


1度は離れて連絡もとらなかったけど

またこうして縁が繋がったもの


一人でも知り合いが増えることは

家族もなくなった私にとって

心が温かくなるの


そんなふうに

思っていてもいいでしょう?




う~ん




迷惑…だったかしら?

一人よがりだった?




そうじゃないよ


遠くに住む

知り合いってことでしょ?


それだけじゃ嫌だな




えっ?




う~ん


心通わせる

親しい

ボーイフレンド かな




あ…はは


ボーイフレンド…ね




だめ?




ううん

嬉しいわ




ブレッドのストレートな言葉が

嬉しい反面

真意が見えず

少し戸惑うリサだった。


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