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第12話 意識

モールの駐車場に車を停めて

二人は歩いていた。




何か 買いたいものがあるの?




洋服を買おうかなぁと




どんなかんじの?




ドレッシーなかんじ…かな




デート用?




そんなんじゃないけど…




リサは

ブレッドをあちこち引っ張り回し


いろんなお店を次々に見て

気に入ったものを数点購入した。




そろそろ

休憩がてら ランチにしない?



ブレッドに言われて

リサは急に空腹を感じた。




賛成


付き合ってくれたお礼に

ランチは私がご馳走します



モールから少し歩くと

素敵なカフェがあった。



ここはどうかしら?




リサが聞くと



うん いいよ



ブレッドが微笑み店内へ入る。



ブレッドが持っていた

リサの戦利品を椅子に乗せて


二人は向い合わせで座った。



この店一番の人気メニュー

ボリューム満点のクロワッサンサンドと

デザートを注文する。




連れ回してごめんなさい


疲れたでしょ?



リサが申し訳なさそうに言うと




全然平気だよ


リサこそ大丈夫?




全然平気

って言いたいとこだけど

ちょっぴり疲れちゃった




おしゃれのためには

疲れも感じないくらいに

買い物に没頭するんだね


女性は大変だ



ブレッドが

冷やかしながら呟いた。




あのう

聞いてもいい?




うん




こんなふうに私に付き合ってもらって

恋人は怒らないんですか?




恋人?




えぇ




両親が亡くなる少し前に

何度かデートした人がいたんだ


でも

急に彼女からの連絡がぷつんと切れてね


しばらくして連絡してみたら

彼女に縁談があるからって




どういうこと?




彼女の家も事業をやっていてね


結婚前提で紹介されて会ったんだけど

どうやら

僕以外にも会った人が何人かいたみたいで


白羽の矢が立ったのが

僕と

婚約者である彼


両方と付き合ってみて彼の方に決めたらしい




そうなの


家柄とか事業とかよくわからないけど

結婚相手の決め方が私達とは違うみたいですね



愛情より

肩に背負っているもののために

より有利な条件を持つ人を

選ぶんだもの



それで…

落ち込んだりしました?




それが全然

むしろホッとしたんだ


そもそも

親に勧められて会っただけだし

まだ結婚するつもりもなかったから


その後 両親が亡くなって

それどころじゃなかったけどね




君は?


リサの彼はここに来ていること

どう思っているのかな?



……

あのね


恋人はいないんです




そうなの?




ええ




でも 今まで…




彼がいるって言ってません




そうだったっけ



リサが頷くと




良い男と良い女なのにね



ブレッドが悲しげな顔を作って

おどけて言った。




クスッ

自分で言ってるわ




あはは


だって

誰も言ってくれないから




あなたは素敵です

ブレッドさん


私が言わなくても

わかっているでしょうけど



きっとね

あまりに素敵すぎて

声をかけられずに見ているだけの人が

たくさんいるはずだわ



リサは

自分自身の気持を言うように

ブレッドに微笑んだ。


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