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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
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#098 元日



「「ハッピーニューイヤー!」」

「ハッピーニューイヤー」


 リビングの掛け時計が十二時の鐘を鳴らす中、俺たちは新年を迎えたことを祝う。

 そして、すかさず日本風の挨拶。


「というわけで、あけおめ! ことよろ!」

「こちらこそ、あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

「あけましておめでとう、今年もよろしく」


 姉ちゃん、相変わらず適当だな……。五十嵐の丁寧な挨拶がある分、いっそう雑さが目立つ。


 ちなみに、今この家にいるのは四人。珍しく母さんが帰ってきているのだ。

 だが、その母さんは今、和室でぐっすり眠っている。仕事から帰って来るなり、『明日も出勤だから』とさっさと寝てしまったのだ。最近、母さんの勤め先がブラック企業であることが、ほぼ確信の域に達してきている。ウチは姉ちゃんもブラック生徒会の長を務めている。本当にウチにはブラックの呪いがかかっているんじゃないか?


「それじゃあ、二人とも早く寝ること!」

「へーい、でも姉ちゃんは続き見るんだろ?」

「当たり前じゃない! まだ後三十分くらい残っているし!」


 姉ちゃんは俺たちに寝るように言った傍から、『四チャン~四チャン~』と呟きながらテレビをつける。我が家は代々一チャン派で、四チャンネルの裏番組なんて見ないのが我が家の風習……のはずだ。親父が家にいた時までは。何故姉ちゃんが四チャンの方が好きなのか、俺にはよく分からない。


 そして、だいたい毎年、姉ちゃんはその裏番組を見終わると同時に他の番組をはしごして、いつの間にかリビングのソファーで寝てしまうのだ。エアコンとテレビがつけっぱなしになるので、非常に電気が勿体ないのだが……。自分の部屋で寝て欲しいものだ。


 俺はそんな姉ちゃんに呆れながらも、五十嵐の後に続いて階段を上っていく。


 俺の部屋は階段を上がってからすぐ、右側にある。五十嵐の部屋はその反対側。だから、俺たちは階段を上ったらすぐに左右に分かれることになる。


「んじゃ、おやすみ。寝坊するなよ」

「うん……。ねえ、慧」

「なんだー?」


 早く寝たいんだが……。

 その意図が通じたのか、五十嵐は何かを躊躇するように一瞬間を空けると、


「やっぱり何でもないよ、おやすみ」


 そう言って、自分の部屋に引っ込んでしまった。

 俺も自分の部屋に入ると、ベッドに寝っ転がる。


 五十嵐が先程何が言いたかったのかは、何となくわかる。多分、光のことだ。

 だが、何と言えば良いのか分からなかったのだろう。俺もあれだけ泣いたからな……。


 五日経った今でも、俺はそのことに関して、何も踏ん切りができていない。

 これからどうするのか、どうしていきたいのか……。今のままではダメだという思いばかりが先走り、行動が何もついてこない。


 でもまあ、今日は眠いから明日じっくりと考えることにしよう。働かない頭で考えてもいいものは生まれない。そんな状態で決めたことが最善だとは到底思えない。


 というわけで、おやすみ……。



 次回、2022/06/14 19:00頃投稿予定!

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