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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
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#009 姉ちゃんの仕業



 殺人未遂天使セラフィリが俺の家に許嫁の『五十嵐ひかり』として住むことになるという衝撃的超展開が起こってから一夜が明けた。


 激変した状況に本当なら寝込んでもおかしくなかったが、生憎俺の体は丈夫なもので、それに寝込んでいる暇もない。

 朝早くに起きて四人分の朝食と昼食の弁当を作ってから、姉ちゃんの後を追いかけるようにして学校へ急がなければならないのだ。しかも一人分余計に作らなければいけなくなったせいで、ランニングをする時間も無くなった。


 それでも、昨日寝る前に五十嵐から『慧君を殺すことはまずあり得ませんよ』との言質を取ったので、一応、安心して生活できるようにはなったのだが……。


 その五十嵐だが、今朝奴にあてがわれた部屋の外から中に呼びかけたが、返事は無かった。

 おそらくまだぐっすりと寝ているのだろう。それに天使だから学校もないし。ニート天使だ。


 しぶしぶ五十嵐の分の朝食と昼食を作り置きして、その隣に一言メモを添えておく。

 そして家を出発して駅へ向かうと、電車に駆け込み乗車し、今日は始業時間ギリギリに教室に滑り込んだ。


 一番後ろの一番窓側の俺の席に着くと、その前の席に座っている俺の友人、望月光真(もちづきこうま)が早速話しかけてきた。


「おっは、慧」

「おはようもっちー」


 中学に入った時以来の親友であるもっちーとは、たいてい朝には何かしら話す。それが俺たちの習慣となっている。

 だが、今朝の話題はとんでもないものだった。


「なあ慧、お前、許嫁が来たんだって?」

「ぶはっ⁉」


 思わず吹き出して、その拍子に唾が気管に入った。

 俺は咳き込みながらもっちーに聞く。


「な、何故それを知っている⁉」

「否定しないってことは本当なんだな」


 しまった……!


 周りを見回してみると、先程俺が吹き出したのに反応したクラスメイトのほとんどが、俺に『何事か』的な目線を送ってきながらざわざわと騒ぎ始めている。ヤバいヤバい、これ以上の注目を集めるのは避けたい!


 だが、もっちーにバレてしまったものは取り返しがつかないので、そこは潔く諦めるしかない。それに、クラスメイトのうちの何人かも、もっちーと同じように事情を知っていそうな顔をしている。

 それよりも今俺が知りたいのは、この情報がどこから流出したか、だ。実を言うと、俺はその人物をほぼ特定できているのだが。


 俺はできるだけ他の人に聞かれないように、声のトーンを抑えながらもっちーに聞く。


「とにかく、この情報、誰から聞いた⁉」

「え? もちろん舞先輩だぞ? 今朝、廊下ですれ違ったら教えてくれたぞ」

「あんの姉ちゃんんんんんんんんん!!!」


 ほーらやっぱり予想通り姉ちゃんの仕業だった‼

 もっちーは俺の肩に手をポン、と置く。


「良かったな慧、結婚相手ができているなんて、お前は幸せ者だな」

「チキショー‼」


 姉ちゃんさぁ……いくら嬉しかったとはいえ、こういうことを他の人にバラすの、本当によくないと思うよ……。

 秘密にしておきたかったことを早速バラされ知られたショックで、俺は思わず机に突っ伏した。


 ここで、朝のSHRの開始を告げるチャイムが鳴り、今日もいつものように学校は始まったのだった。


 とにかく、早く姉ちゃんの口を封じておかねば……。



 次回、2022/05/01 8:00頃投稿予定!

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