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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
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#086 The other combination④



 慧とひかりが入場してからおよそ一時間後。

 電車がちょうど到着した遊園地前の駅から大量の人が降りる中、彼女ら二人もまた、その流れに乗って電車を降りていた。


「うぅ……気持ち悪い……」

「大丈夫? トイレ行く?」

「行かない……」


 顔面蒼白で、今にもリバースしそうになっているのは、慧の同級生にしてその遊園地の一日フリーパスを譲った張本人、中二病少女の水無瀬菫。

 そして彼女に自身の肩を貸して、背中をさすってあげているのは、慧の姉にして元中二病の生徒会長、雨宮舞。


「だからすみれちゃんちの車で行った方がいい、って言ったのに……」

「それでは……渋滞で余計に時間がかかってしまうではないか……うぷ」

「乗り物酔いをしやすいっていうのに……」


 舞は駅から出ると、菫を駅前のベンチに座らせて休ませる。


 数分後、いくらか気分が回復した菫は、すっくと立ちあがった。


「もう大丈夫なのね?」

「もちろん。それでは早く行くぞ!」


 菫は舞の手を取ると、ズンズンと入場口の方へと歩き始める。


「ちょっと、何を焦っているのよ?」

「焦ってなどいない! ただ遊園地に早く着きたいのだ! 早く彼奴らを見つけねば……」


 その言葉とは裏腹に、舞の言う通り菫はものすごく焦っていた。

 入場口の脇の券売所には既に多くの人が並んでいたが、菫たちはそれを無視して一直線にゲートへ向かう。


「いらっしゃいませ~」

「これで」


 菫はスカートのポケットから一日フリーパス券を二枚取り出すと、ゲート脇に待機している係員にサッと提示する。こういう動作だけ、すみれちゃんの中二病はカッコよく見えるわね……と舞は思った。


「はい、それでは、行ってらっしゃいませ~」


 菫は早速入場するなり、傍にあったパンフレットを手に取ってバッと広げた。


「どこだ~、いったいあのカップルはどこだ~」

「何かものすごい執念を感じるわね……」


 菫から発せられるオーラに思わず舞も気圧される。

 舞も、慧たちの居場所を探そうと菫の横からパンフレットを見る。すると、彼女は気になる文字を発見した。


「あっ! もしかしてこれは……」

「どうした⁉ 何を見つけた⁉」

「ブリガンドじゃん! 一度乗りたいと思っていたのよ~」

「そっち⁉」


 菫はガクッと肩を落とす。そしてもう一度パンフレットに視線を落とす。


「レーゲンパラスト、早く……」


 そう言いかけた時、菫の腕が掴まれ、勢いよく引っ張られた。


「早く乗らないと混んじゃうよ! 行こう!」

「うぇ? ちょ、ちょっと、待て、待ってぇ~」


 菫は抵抗するも、舞の腕力には敵わず、ブリガンドの方へと連れ去られてしまう菫であった。


 果たして、電車でも酔ってしまう菫が、ブリガンドに乗ったらいったいどうなってしまうのか……。



 次回、2022/06/07 09:00頃投稿予定!

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