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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
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#083 ナイスタイミング!



 昨日の夜は、なんだか不思議な気持ちでよく眠れなかった。


 クリスマス当日にデートかぁ……。はぁ、どうしようか。全く想像ができない。無論、人生の初めての、女子と二人っきりの正真正銘のデートである。


 絶対何か粗相をしそうな気がする。枕元で響く目覚ましの音でいつもはすぐに起きられるのだが、今朝は緊張して、布団からなかなか出られなかった。


 それでもなんとかして布団から出て、階段を下りて台所で今日の朝食を作る。十数分後に、パジャマ姿の五十嵐が下りてきた。


「おはよ~」

「お、おはよう……」


 ダメだ、緊張で上手く返事ができねー。対して五十嵐は、超リラックスした様子で『ふわぁ……』と呑気に欠伸までしている。俺だけデートのことを気にしているみたいだ。


 ……そう考えると、デートで緊張するのがなんだか馬鹿らしく思えてきた。

 よーし! もう粗相するとかしないとかはどうでもいいから、今日はデートを思いっきり楽しむぞ!


「痛っ!」

「……大丈夫?」


 ……吹っ切れたあまり、包丁で指に切り傷を作ってしまった。痛ぇ……。



 ☆★☆★☆



 とまあ、色々とアクシデントがあり、朝食を食べた後少ししてから、遂に出発の時が来た。


「いってらっしゃ~い」

「行ってきます!」

「行ってくる」


 姉ちゃんがまだ眠そうな顔をしたまま、俺たちのことを見送る。あ~、また緊張が戻って来たぞ~。ストレスのなさそうなその顔がちょっと羨ましい。


 我が家を後にして、俺たちはいつも通学で向かう駅に向かう。

 今回、遊園地までは電車を使って一時間程かかる。だから、かなり早めに家を出発しないと、遊園地で遊びつくせるほどの時間が確保できなかった。


 ……まあ、実際は五十嵐の『遊園地⁉ 初めてだからたくさん遊びたいな!』というのが、一番大きな理由だったのだが。


 駅に着くと、ちょうど遊園地方面に向かう電車がやってきた。ナイスタイミング! ということで電車に乗り込む。

 電車の中はいつもより若干空いていた。だが、普段よりも男女二人組の割合が高い気がする。やっぱりクリスマスだから、世の中のカップル共はこの機会に外出するのだろう。

 ……俺たちもそういう風に周りから捉えられているのかもな。


 座席に並んで座ると、五十嵐は俺の手を無言でギュッと握ってくる。俺もそれに応えてギュッと握り返す。


 ……今更ながら、俺の服装大丈夫かな? 部屋にあった服を適当に着てきたけど、大丈夫だよね? 変じゃないよね?


 あー、なんだか色々なことが心配になってくる。本当に大丈夫かな、俺。粗相をするとかしないとかじゃなくて、最早自分に自信が持てなくなっているレベル。俺、ヤバいな……。


 いやいや、さっきからずっと一人の世界に入っているけど、ここは五十嵐と話さないとダメなんじゃないか? 一緒にいるのに家を出てから今まで一言も喋っていないぞ⁉


 ここは俺も何か話すべきだな!


「なあ、あのさ……」


 そして、俺が隣で手を握っている五十嵐を見ると、


「くかー……」


 こてん、と俺の肩に頭を預けて、寝てしまっていた。



 次回、2022/06/06 07:00頃投稿予定!

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