表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
76/237

#076 五十嵐はケーキだった



 十五分後。


 姉ちゃんにより、部屋から締め出された俺たちがリビングで待っていると、二人が上から戻って来た。


「はぁ……はぁ……」

「むー……」


 よほど水無瀬が抵抗したのだろう、普段は疲れなんて全く見せない姉ちゃんが、肩で息をしてゲッソリしていた。HPだけじゃなくてMPまでゴッソリ削られたみたいだ。

 一方、元の服装に戻った水無瀬は、たいそうご不満な様子だ。姉ちゃんの黒歴史グッズをよほど気に入ったのだろう。


 ここ数分間、上からドッタンバッタン聞こえていたからな……。相当な修羅場があったんだろうな。


「油断したわ……すみれちゃんがウチにいるときは鍵をかけておくべきだったわ……」

「次は装着させてくれるのだろうな⁉」

「う、うん……」


 なんとなく姉ちゃんがどうやって水無瀬を説得したのか分かってしまった。

 姉ちゃん、大変だな……。


「そういえばひかりちゃんは?」

「もしや我に代わり別世界への転生を果たしたか⁉」

「んなわけねえだろ。今、ケーキを取りに行ってもらっているだけだ」


 二人が上でドッタンバッタン大騒ぎしている間に、ケーキ屋から電話がかかってきたので、五十嵐が取りに行ったのだ。

 もちろん、俺が無理矢理行かせたのではない。五十嵐が自ら『取りに行くよ!』と言って、俺が止める暇もなく家から飛び出して行ってしまったのだ。


「けーき⁉」

「ほう……我に貢物か……」


 俺の言葉を来て、言い方は全然違うけれど、二人とも嬉しそうに目を輝かせる。


 壁に掛かっている時計を見ると、既に五十嵐がこの家を出発してから十分が経過している。ここからデパートまではだいたい片道五分くらいなので、そろそろ帰ってくるはずだ。

 ……流石に一人でケーキを取りに行かせるのはマズかったかな。ケーキはきっと重いだろうから、フォローに行くべきだろうか。


 そんなことを考えていたら、玄関のドアがガチャリと開く音がした。


「ただいま~」

「おかえりなさい……ってデカ!」


 リビングに入ってきた五十嵐は……ケーキだった。


 ……正確にはケーキがデカすぎて、それを入れた箱で五十嵐の上半身が隠れていた。五十嵐はどっこいしょー、とダイニングテーブルの上にケーキを置く。ドスン、というケーキらしからぬ重量感のある音が響いた。


「こんなにデカかったっけ⁉」

「えっとね、なんかお店の人が笑顔で『サービスです』って言ってた」


 これ絶対嫌がらせだよね、そうだよね⁉

 まあでも、残念だったな! この嫌がらせは我々には通用しない。何故ならば。


「わぁ……おいしそう……」

「(ゴクリ)」


 姉ちゃんと水無瀬は、箱から出したケーキの威容に喉を鳴らした。

 この様子なら、この量でも心配いらないだろう。



 次回、2022/06/02 19:00頃投稿予定!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ