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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
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#074 ブレッシング!



「くそぉー!」


 一人はカードを床に落とす。


「何故だ……何故だ……!」


 一人はカードを眺めて理不尽なこの結果を疑う。


「次こそは負けないからねっ!」


 一人はポジティブに目を爛々と輝かせる。


「……難しい」


 一人は眉間に皺を寄せて、カードを眺めて考える。


「フーッハッハッハ! 我に敵う者などこの世にいない!」


 一人、勝者は高らかに笑う。


 ……ダウトは、水無瀬の圧勝に終わった。


 しかも、一回だけではなく、今まで何回もやったうちの全てだ。途中で二階から姉ちゃんが下りてきてゲームに加わったものの、水無瀬の連勝は変わらなかった。


 かなり積極的に皆ダウトをするのだが、水無瀬に向けたダウトは、全てがことごとく外れるのだ。そして、引き取った人がカードの確認すると、水無瀬の番に出されたカードはそのほとんどが嘘をついて出されたもの。そう、ダウトと指摘されたときだけ、嘘をつかずに順番通りに出しているのだ。


 マジでコイツ運が強いな! まるで女神から祝福をされているかのようだ。それとも特殊能力を持っているとか? チートかよ!


 とにかく、水無瀬はダウトが強い。そこだけは事実だった。


 ただ、一人で何連勝もされると、勝っている本人は楽しいだろうが、他の人は負け続けているわけなので面白くない。


 ということで、他のゲームでもやろう、と提案しかけたところで、不意に水無瀬が立ち上がった。


「それでは、綺麗な儚き花を我が物にしに行く。数が多く時が過ぎゆく故、その間に一戦交えていても構わない」

「おう。リビング出て右だからな」


 水無瀬がリビングを出て行ってからすぐに、五十嵐が不思議そうな顔をして尋ねてきた。


「……いったいなんて言っていたの?」

「『トイレに行ってくる』だ」


 『トイレに行く』=『花を摘みに行く』を中二病っぽく言い回したのが、さっきの言葉だ。分かりにくいことこの上ないが、水無瀬はこれ以外の言い方をしないのだ。

 それに、『時間がかかりそうだから、その間に他の人たちとゲームをしていてもいいよ』とも言っていた。ならばお言葉に甘えさせていただこう。


「ま、それじゃあまたダウトをやるか」

「すみれちゃんがいないから今度は勝つわよ!」

「もうそろそろルールも分かってきたし、わたしも負けない……!」

「うーし! 勝つぞー!」


 皆が再び気合いを入れる中、俺はカードを集めてよく切って、皆に再分配する。じゃんけんの結果、今度は五十嵐が親になった。


「エース!」


 そして、五十嵐の声から、何回目かのダウトが始まった。



 次回、2022/06/01 19:00頃投稿予定!

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