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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
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#058 お前らいつの間にか結託していたのかよ!



 今日もゆる~い感じの担任がSHRを終わらせて、放課後に突入する。

 俺は鞄に教科書類を詰め込みながら、ふと思った。


 五十嵐は俺と一つ屋根の下で暮らしている。つまり住んでいる家は同じ。即ち、帰り道まで全く同じ。当たり前だ。


 ……気まずい。


 どうしよう。俺の家と学校の距離からして、通学は電車に頼らなければいけないので、帰り道のパターンは限られる。一応別の路線を使う手もあるが、わざわざお金をかけるほどのことか? と聞かれると、そうでもない。


 ……仕方ない、ここは俺が図書館で時間を潰して電車に乗る時間をずらすか。その間に、五十嵐のことをじっくり考えればいいだろう。

 そう心に決め、よいしょ、と荷物を持って教室を出て行こうとしたその時だった。


「なぁ慧、一緒に帰ろうぜ~」

「え」


 おい、フラグ回収かよ。しかも、ただ誘ってくるだけじゃなくて、何故か腕までガッチリ押さえられている。悪意しか感じないのは俺だけか? というか、もっちー今日部活じゃなかったっけ?


「え、いや、俺図書かん……」

「そんなこと言わずに~」

「は、放せよ!」


 き、気持ち悪い! 口調が何故かオネエっぽい! 俺はオネエもっちーにより教室の外へ引きずられていく。何気に腕力が強いので振りほどけない。やはり俺が帰宅部でもっちーが運動部だからだろうか。


「え、ちょ、ちょっと!」


 後ろを振り返ると、予想通りというべきか、水無瀬に手を引っ張られていく五十嵐。こちらも困惑気味だが、手を引かれるまま体を任せている。何気に従順だな、お前。


 いやいや、重要なのはそこではなくて。


「お前ら、いつの間にか結託していたのかよ!」

「さあ、何のことかな?」

「我はフンフツィヒ・シュトルムと居城への道中を共にしようとしただけだが」


 しらばっくれるなよ⁉ くっそー、お前らぜってー仕組んでいるだろ!


「放せ!」

「まあまあ、ちょっと待てよ」


 そして激しく抵抗する俺を押さえつけたまま、もっちーは器用に自分のスマホを取り出すと、誰かに電話をかける。


「……あ、もしもし、先輩っすか? ちょっと手伝って欲しいことがあるんで、すぐに一年C組の教室の前まで来てもらっていいっすか? ……あ、はい。そうっす。じゃ、お願いします」

「おい、今誰に電話をかけた」

「~♪」


 もっちーが口笛を吹いて誤魔化すのを見て俺は悟った。絶対アイツだ!

 そして数秒もしないうちに、廊下の向こうからドドドというものすごい音が聞こえてきた。


「けい~! お姉ちゃんが会いに来たよ~!」


 くそー、よりにもよって最悪の相手を呼び出したな! このブラコン姉も俺より強い。


「舞先輩、ごにょごにょごにょ……」

「……うんうん、了解!」

「じゃあ、後は頼みまっせ。じゃあな、慧! 上手くやれよ!」


 もっちーは姉ちゃんに俺の拘束を代わってもらうと、爽やかにそう言い残して廊下を駆けていった。


「くっそー! 恨んでやるー!」



 次回、2022/05/24 21:00頃投稿予定!

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