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俺を殺しに来た天使が許嫁になったんだが……?  作者: 卯村ウト
第1章 ある日天使がやって来て
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#056 The other side②



『続いては、ペンネームМ.Kさんからの投稿です』

『投稿ありがとうございます』


 女子の放送委員が、次の投稿を読み上げる。

 М.Kと言ったら……。わたしは顔を上げて、望月君を見た。


 望月君は無言でサムズアップ。相変わらず何がいいのか分からないけど、フラグが立ったことだけは分かった。嫌な予感レーダーがビンビンに反応している。


『えーっと……『最近友人のAとIがとってもいい雰囲気になっているが、何故か付き合わない。どうしたらいいんでしょうか』とのことです』

「⁉」


 これって完全にわたしと慧のことだよねそうだよね望月君⁉

 慌てて小声で彼を問い詰める。


「どどど、どういうことなの望月君⁉」

「そのままだよ。五十嵐さん、慧と付き合っちゃえばいいのに」

「え、ええ~?」


 わたしは紅潮していく頬を隠そうと俯いて考える。


 た、確かに慧はいい人だし、顔もそこそこ良いし、なんだかんだ言って優しくしてくれる。神様にくっつけって言われているし、悪い人ではない。たぶん、わたしは慧のことを気にはなっているんだと思う。


 でも、最初に会った時は彼を殺害するためだったし、もしわたしが慧のことを仮に好きだったとして、付き合いたいと思っても、流石にそれはできないんじゃないかと思う。

 だって、慧がわたしのことを好きだという保証はどこにもない。初対面で『あなたを殺しに来ました』なんて言ってきた人なんかとは誰とも付き合いたくないでしょ?


『雨宮君どう思いますか?』


 と、もう一人の当事者に、女子の方が問いかける。


『え、えーっと……これは本人たちの進展を見守るのが一番だと思います。きっとそのうち何かあると思います、よ?』


 なるほど! わたしたちの問題だから、口出しをするべきではない、と……。まあ、その通りだね。


「……そっか」


 望月君は背もたれに寄りかかると、じゃあ、オレは静観の構えで行くかな、と呟いた。

 こうして、一波乱あったお昼の放送は終わった……はずだった。


「……つまり、慧は五十嵐さんに告白するということだね」

「え」


 はずだったけど、望月君が突然ミサイルを撃ち込んできた。

 告白? 慧が? わたしに? そのワードが頭の中をぐるぐると回り始める。


 わたしは思わず再び望月君に詰め寄る。


「わ、わ、わたわ、わた」

「落ち着けって」

「……慧が、わたしに告白?」

「そう」


 もう脳内はショート寸前。思考回路がめちゃめちゃだ。


「だって、今のところ五十嵐さんが何もしないなら、何かある=慧が何かをする、っていう意味だよ」

「そそ、それがっ、こく、はく?」

「そう。無意識の内の言葉かもしれないけど、つまり慧は五十嵐さんが気になってるってことだ」

「はうぅ……」


 もしかして、これって……。

 その言葉で遂にKOされ、頬の熱さを感じながらわたしは机に突っ伏した。



 次回、2022/05/23 20:00頃投稿予定!

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